震災直後のできごと
新潟県警加茂警察署に勤務する甥が、お年寄り相手の振り込め詐欺防止の寸劇で主役!
つまり犯人役になったのだけど、寸劇は県内のテレビニュースで放映された。
普段の甥は真面目で明朗快活な好青年だけど、犯人役の甥は黒いジャケットを着崩したサングラス姿でいかにも悪そうだった。
小さい頃の甥は、酷い喘息で入退院を繰り返す病弱な子供だったが、高校時代に山岳部で鍛えてからは急激に逞しくなって国体の選手になった。
彼は高校卒業後に警官となり、山登りの技術を買われてか山岳救助にも派遣されていたようで、甥がヘリコプターからロープで下降して遭難者を救助するテレビニュースを観たことがある。
痩せて青い顔をしたあの甥が、仕事とはいえ命がけで人を助けている・・・無事に生還したと結果は分っていても、ニュースに映った救助中の甥の姿にハラハラさせられた。
東日本大震災の4日後、当時新潟県警機動隊に所属していた甥が、原発事故の起こった南相馬に派遣された。
死ぬなよ!人助けも大事だけど、お前だけは死ぬなよ!元気で帰って来いよ!本当にヤバイ時は逃げてもいいから生きて帰って来いよ!
不謹慎と言われようが、それは家族の本音だし、あの時のことを思い出すと今でも切なくなる。
被災された方々はお気の毒だし本当に心が痛む。
しかし現地に派遣された各地の警官や消防署員、自衛隊員の一人一人にも、過酷な状況で命がけの救助活動をしていることに心を痛める家族がいる。
糸魚川市は被災しなかったけど、俺にとっても東日本大震災は傍観者とはなり得ない悲痛な記憶だ。
災害や震災のニュースを観るたび、何千何万人もの甥に想いがはせる。
死ぬなよ!生きて帰って来いよ!
そう呟いてしまう。
投稿者プロフィール

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ヒスイの故郷、糸魚川市のヒスイ職人です。
縄文、ヒスイ、ヌナカワ姫の探偵ごっこをメインにした情報発信と、五千年前にヒスイが青森まで運ばれた「海のヒスイ・ロード」を検証実験する「日本海縄文カヌープロジェクト」や、市内ガイド、各種イベントの講師やコーディネーターをしています。
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