ベトナム人の手技・・・ジュラルミンの舟
前回に続きベトナム人の生活力への賛美。
私は手仕事が好きなので、旅に出ると手仕事をしている人を探して仕事ぶりを観せてもらう。
日本の職人さんは煙草を吸わない人も多いが、東南アジアやインドでは煙草好きが多いから、煙草をすすめると喜んで手を休めて仕事場を観せて貰えるのだ。
特に海と船が好きなので、漁村や造船所を好んで探して歩く。
こんな旅のスタイルだと、河があれば河口から上流に遡っていくと造船所が見つかることを経験から得ているので、意外に簡単に造船所は見つかる。
フエの郊外で、ジュラルミン製?の漁船を作っている造船所を発見。
もしかしたらジュラルミンではなくアルミ製なのかも知れないが、この漁船は運河などの艀(はしけ)などに使われているようで、海に浮かんでいるのは観た事がない。
裏返して置いてあると、ジェット戦闘機のドロップタンク(燃料の増層タンク)みたいで格好いい。
この舟を作っているのを観ると、どうも廃材で作っているようだ。
厚み3㎜前後のジュラルミンだと相当に硬い筈だが、接合部の合いじゃくり部分を、なんとペンチで正確無比に手曲げしていた。
合いじゃくりした金属板同志を嵌めてから叩いて密着・・・この技法は日本家屋の金属屋根の作り方と同じだ。
理屈で言えば屋根屋さんでも作れる技術だが、曲面の板金仕事の手作業だから難しいだろう。
地面に差したバカ棒(計測器を使わないで済む簡素な定尺機器)に、木のフレームを取り付けてから接合した金属板を設置していく。
簡単に観えるが、こんな単純な作業こそが精度を出すのが難しい・・・経験者は語る(笑)
少し離れた所にあるフレーム大工さんの家に持って行き、船首・船尾・舷側補強の板を取り付けて塗装して完成。
もしかしたら、ベトナム戦争の時の戦利品・・・墜落した航空機の外版を利用したのがルーツなのかも。
世界で一番の器用な人々・・・ベトナム人って凄い。
投稿者プロフィール

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ヒスイの故郷、糸魚川市のヒスイ職人です。
縄文、ヒスイ、ヌナカワ姫の探偵ごっこをメインにした情報発信と、五千年前にヒスイが青森まで運ばれた「海のヒスイ・ロード」を検証実験する「日本海縄文カヌープロジェクト」や、市内ガイド、各種イベントの講師やコーディネーターをしています。
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