ペア勾玉で起こったプチ奇跡・・・Better half
遠距離恋愛をしている男性から、「ペア勾玉・Better half」のご注文。
ヒスイの種類・形・大きさを変えた三種類のペア勾玉を作って、写メで確認して貰って一番大きなペア勾玉が売れた。
私は気が小さいので、石笛の注文の時でも何種類か作った中から気にいったものを選んで貰う。
忙しい割に貧乏なのは、そんな理由もある・・・それでも注文主にとっては一生に一度の買い物かもしれないので本望ではある。
納品準備をしていたら、ちょっとした奇跡が起こった。
いつの間にか革紐同志が絡み合って、ちょうど真ん中あたりで綺麗に結ばれていたのだ。
ヤラセではなく、本当に自然と結ばれた図。
ペア勾玉といっても、瓜二つに作った勾玉をセットにしたのではなく、手間暇はかかるが厚めに作った一つの勾玉を半分に割って作ってあるのだ。
七年前に五度目のインド旅行で知り合ったヨーロッパ人バックパッカーから、「My Better half!」と、奥さんを紹介された。
Better halfを直訳すれば「より良き片割れ」で、自分のパートナーを差すのだとすぐに理解できた。
Best(最高)ではなく、Better(より良き)という所が、謙虚で思いやりのある言葉だと感心した。
帰国してから調べたら、プラトンの「饗宴」に由来を持つ言葉で、天国で一つだった魂が、二つに別れてこの世に生まれ出で、再び出逢って一つになった、という事らしい・・・ジョン・レノンの曲のようで、なんてロマンチックなんざんしょ!・・・でもワタクシには似合わない照れ臭い表現。
ヒスイ加工を始めてから、友達に練習がてら勾玉を作ってプレゼントしていたら、Better halfを思いだした。
そこで「ペア勾玉・Better half」を作ってプレゼントしたのが、二十歳の齢の差婚をした親友のフォークシンガー大村和生さん(カズさん)ご夫婦だ。
太陽光に透けるヒスイ勾玉・・・爪が汚れているのは手作業で田植えをした後だからである・・・申し訳ない。
仔細は不明だが、ご注文を頂いたカップルは、お互いの夢を実現するために敢えて離れて暮らしているのだそう。
自然に結ばれた革紐は、解かずにそのまま革ポーチに入れた状態で送った。
長期休暇で久しぶりに会う二人・・・一緒に開封して、眼を見つめ合って微笑む・・・そして二人で革紐を解いて貰うというニクイ演出だ。
お二人の夢が実現されて、何時か一緒に暮す時が来る事を奴奈川の郷より願っております。
なんだかんだ言って、オレって結構ロマンチックなんですわ(笑)
投稿者プロフィール

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ヒスイの故郷、糸魚川市のヒスイ職人です。
縄文、ヒスイ、ヌナカワ姫の探偵ごっこをメインにした情報発信と、五千年前にヒスイが青森まで運ばれた「海のヒスイ・ロード」を検証実験する「日本海縄文カヌープロジェクト」や、市内ガイド、各種イベントの講師やコーディネーターをしています。
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