雑魚の一分・・・ひびだらけの鬼っこヒスイ
正月早々に年始に来たヒスイ仲間が、「このヒスイ、ヤマちゃんくらいしかお金にできないでしょ。お年玉だよ!」と、ひび割れだらけのヒスイ原石を置いていってくれた。
福の神の到来!
ひび割れが多いだけでなく、発色が薄くて不純物も多い地味なヒスイ。
普通のヒスイ職人さんは手を出さないタイプの原石だろうが、私にとってはお宝なので有難く頂く。
ひび割れが目立つ原石は、膝の上に乗せてハンマーで叩いて割れる部分を割っておく。
残った部分は加工途中で割れないという事だし、細かく砕けた端材は火打石セットの火打石に転用できるので、無駄がないのだ。
発色が薄いヒスイは「色がない」と言われて人気がないのだけど、私はパステル調で上品だと捉える。
派手ではない分、模様や色に限定を受けず、造形に自由度が増して創作イメージが広がるし、不純物は風景として捉える。
どんなモノにも見方次第でいい部分があるハズ。この石笛は色白の素肌美人ってところだ。
そのチャームポイントを引き出すのが仕事の醍醐味と感じる・・・ある意味で損な性分なのだ。
光をあててビックリの透光性だ。
沸石や角閃石という不純物の多い部分もこの通り美人になった。満月にかかる叢雲という風景なのでR!、と言い切ってしまう(笑)
多くの人が高級魚のマグロ、あわよくばトロを狙うのであれば、私はサバやサンマといった大衆魚でマグロの刺身に匹敵する料理を造ろうではないか、と感じる職人。
雑魚には雑魚の佳さもあるのだ。雑魚の一分を見せてやろうじゃないの!
その分、手間暇はかかるが、そんな仕事が面白く感じるのだから仕方ない(笑)
投稿者プロフィール

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ヒスイの故郷、糸魚川市のヒスイ職人です。
縄文、ヒスイ、ヌナカワ姫の探偵ごっこをメインにした情報発信と、五千年前にヒスイが青森まで運ばれた「海のヒスイ・ロード」を検証実験する「日本海縄文カヌープロジェクト」や、市内ガイド、各種イベントの講師やコーディネーターをしています。
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