逝きし手仕事達への挽歌・・・糸魚川の桶職人の道具
富山の博物館に寄贈したのは、ドブネ船大工の道具の他に糸魚川市早川区の桶職人の道具箱1式。
手作りらしい道具箱の引き出しに、職人さんの人生が詰まっていた。
引出し最下段には「かた取り」という桶の寸法を墨付けする定規が収まっていた。
中段には鑿や台の底が丸くなった桶の内側を削る鉋各種。
上段には錐各種。先端がフォークのように3本に分れた錐は、大きな穴を開けるためのネズミ錐。桶職人だから液体用の桶の吐出口の開口にでも使っていたものか。
錐や鑿の柄、鉋の台もすべて手作りで、まさしく身の丈にあった道具。
この道具箱の中の道具は職人さんの身体の延長と言える。
ヒスイ職人となった以前と以後では、古い職人道具への愛着がまるで違い、職人道具は職人の魂、人生と心から思えるようになってきた。
二度と作ることも使われることがない、逝きし手仕事達への挽歌。
投稿者プロフィール

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ヒスイの故郷、糸魚川市のヒスイ職人です。
縄文、ヒスイ、ヌナカワ姫の探偵ごっこをメインにした情報発信と、五千年前にヒスイが青森まで運ばれた「海のヒスイ・ロード」を検証実験する「日本海縄文カヌープロジェクト」や、市内ガイド、各種イベントの講師やコーディネーターをしています。
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