「それ・これ・今」と「あれ・あの・あの時」問題
3年前に作った雲形紋を線刻彩色した石笛と同じデザインで注文を受けたが、手が動かず3ヶ月経ってしまった。
雲形紋は水、渦巻紋は火を象徴させてカ(火)ミ(水)だからカムイ石笛と銘打った3年前の石笛は、水と火に関係した仕事をしているからと、海水塩を作っている村上市の友人が工房のお守りにと買ってくれた。
私の石笛作りは即興的だから、「その時」だからこそ、「そのヒスイ」だからこそであって、「今、別のヒスイ」で作ろうとすると身体が固まってしまう。
他人のコピーをしているような罪悪感、演技しているような嘘っぽさ・・・とにかく嫌な感じがする。
私の石笛デザインや文章をコピーして商売している人は多いけども、こんな罪悪感みたいな感覚とは無縁なのだろうか?
出来上がった石笛は、図らずも「太陽の塔」に似た別物。
ヒビがあっても透過性がいいヒスイで、結晶も緻密。
「それ・これ・今」は、一瞬で「あれ・あの・あの時」の過去形になり、後戻りできない不器用な職人だから、こういう注文は嬉しい反面、一番難しい・・・。
投稿者プロフィール

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ヒスイの故郷、糸魚川市のヒスイ職人です。
縄文、ヒスイ、ヌナカワ姫の探偵ごっこをメインにした情報発信と、五千年前にヒスイが青森まで運ばれた「海のヒスイ・ロード」を検証実験する「日本海縄文カヌープロジェクト」や、市内ガイド、各種イベントの講師やコーディネーターをしています。
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