ベターハーフ勾玉、アメリカへ・・・ヒスイとヒトのモノガタリ
アメリカ人のビジネスパートナーに日本のお土産を贈りたいという相談で提案したのが、一つのヒスイ勾玉を二つに割って作ったベターハーフ勾玉。
異文化の外国人にとって勾玉は石で作ったカシューナッツに見えるらしく、ダイヤなどの単結晶の透明な貴石に比べたらヒスイは地味な石。
モノではなくモノガタリ、すなわち文化を贈って、日本に興味を持って欲しいと思う。
何の説明もなく異文化の人にヒスイ勾玉を贈った場合、ダイヤモンドやルビーに比べて地味な石で作ったカシューナッツ?と思われては堪らない。
物凄いお金持ちらしいので、奥様は多くの貴金属や宝石だって持っておられるだろう。
そこでヒスイとヒトの歴史、勾玉の歴史など想う処を文章にして添えた。
歴史的存在としてのヒスイ、勾玉の由来、プラトンが唱えて西洋に広がったベターハーフという概念を元に、ジョン・レノンの名曲「you are here」をイメージして作ったベターハーフ勾玉の誕生譚などといったモノガタリの数々。
二つに割る前の時点では厚み2㎝もあるので、この段階に至るまでが苦労するし勝負の分かれ道。
真っ白なヒスイに鮮やかな黄緑が発色した勾玉は、糸魚川観光関連のチラシや地元の人の名刺などで多く目にすることがあるが、大抵は黄緑の部分が出っ張ったりした凸凹な勾玉だったりするのだが、誰も気にしないのが不思議(笑)
このタイプのヒスイは白い部分と黄緑の部分では堅さが違うので、丁寧に研磨しないと歪になってしまう加工が難しい原石なのだ。
勾玉のカタチにもヒスイと作り手のモノガタリが表れているし、作り手の美意識や料簡が如実に現れるので恐ろしくなる時がある。
二日間、暑い工房に籠ってガチで作った勾玉を見て、注文主と贈られるアメリカ人がどう評価してくれるのか?
贈る人と贈られる人のモノガタリが始まる。
投稿者プロフィール

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ヒスイの故郷、糸魚川市のヒスイ職人です。
縄文、ヒスイ、ヌナカワ姫の探偵ごっこをメインにした情報発信と、五千年前にヒスイが青森まで運ばれた「海のヒスイ・ロード」を検証実験する「日本海縄文カヌープロジェクト」や、市内ガイド、各種イベントの講師やコーディネーターをしています。
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