六千年前の職人とヒスイ談義・・・天神遺跡出土大珠復元
石目や欠損部まで再現して、天神遺跡の大珠の木型作成。
頭部に欠けがあるのは、平らな面から2㎜くらい下に平行に沿った石目があり、加工途中で欠損してしまったと推測。
実物
平らに成形した面を正面と捉えていたらしいが、ヒスイの質はルノワールの裸婦像を連想する滑らかで豊満な曲線を持った裏側の方が綺麗だし、正面には目立つ石目が2ヶ所あるのだ。
恐らく当初の原石の形から、作りやすい面を正面とした他に、正面下部の鮮やかな緑を見せたかったのだろうと推測。
正面から片側穿孔で貫通する際に裏側の孔周辺が大きく欠損したらしく、その部分だけ横軸方向に削り取られている。実物は裏面のヒスイの肌が大変に綺麗でうっとりした。
六千年前の職人さんと時空を超えた対話。
写真と実測図は2次元表現なので、そのままヒスイで大珠を作るのは無理がある。
遠回りでも木型を作ることで、製作工程の確認ができたし、目を閉じると微妙なデティールがイメージできるようになったので後が楽。
こんな愉しい仕事はない。
投稿者プロフィール

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ヒスイの故郷、糸魚川市のヒスイ職人です。
縄文、ヒスイ、ヌナカワ姫の探偵ごっこをメインにした情報発信と、五千年前にヒスイが青森まで運ばれた「海のヒスイ・ロード」を検証実験する「日本海縄文カヌープロジェクト」や、市内ガイド、各種イベントの講師やコーディネーターをしています。
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