モノからヒトを観る・・・縄文石笛
ネットに溢れる縄文時代の石笛という情報を片っ端から検証したら、9割は根拠のない独善的な情報だったということがある。
考古学者が石笛と報告した例はほんの僅かで、その特徴は長軸方向の貫通孔と直交する横軸方向の孔が開いていること。
ヒスイ製の縄文石笛・・・上尾駮遺跡出土タイプ
これまで実測図を取り寄せて複製を作ってはいたが、当時の技術は両側穿孔であり、ちょうど横軸方向の孔の部分で長軸方向の孔が結合した先細りの円錐台状の孔となるに対し、現代工具だと同じ直径の貫通孔となるのが問題だった。
流紋岩製の上尾駮遺跡タイプ
素焼きのオカリナなら出土品と同じ孔形状にすることができると気付き、やってみて当時の工程が判明した。
最初に横軸方向の孔を開けてから、長軸方向の孔を穿孔すれば結合部分で最も細い貫通孔になる訳だ。
粘土で作った縄文オカリナ・・・考えたねぇ、縄文人。
粘土だからデザインも自在だし、素材が違っても孔形状の違いによる当時の音色に近いものになるのではないだろうか。
モノからヒトを観る、これが縄文テーマのヒスイ仕事の醍醐味ですな。
投稿者プロフィール

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ヒスイの故郷、糸魚川市のヒスイ職人です。
縄文、ヒスイ、ヌナカワ姫の探偵ごっこをメインにした情報発信と、五千年前にヒスイが青森まで運ばれた「海のヒスイ・ロード」を検証実験する「日本海縄文カヌープロジェクト」や、市内ガイド、各種イベントの講師やコーディネーターをしています。
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