お客様は来訪神・・・超小型勾玉改良
超小型勾玉を吊るす金具に既製品のバチカンを使わないのは、衝撃で外れる恐れがある事と、丹精込めて作った勾玉のデザインを壊すからで、これまではステンレスワイヤーを8の字に加工して吊り具を作っていた。
耐食性と耐アレルギー性に優れたステンレスワイヤーを「8の字留め」にした従来品。ステンレスは硬いので精度よく巻くのはかなり難しい。
小さいから加工も大変だが、カジュアルに寄り過ぎたデザインになってしまうのが問題で、会う人ごとにいいアイデアを求め、ネットでパーツを探し続けていた。
そして訪ねてきた伊勢のジュエリーデザイナーの美穂嬢から、針金を潰して作る吊具のアイデアを教えてもらい、工房に2日間籠って試作に没頭。
素材、寸法、デザインの組合せを模索し、ワイヤー巻きの精度を売り物になるまで何度も繰り返す。
上段3個はステンレス、中段2個はアルミ、下段6個は真鍮製の吊具で、それぞれ素材を叩き潰して作った帯を8の字状に曲げ、中間部をステンレスワイヤーで巻き締めてある。
最も苦労したオールステンレス製は、硬いので指から血を流しながらも加工のコツを掴んだ。
シャンパンゴールドカラーのアルミ製も耐食性と耐アレルギー性も合格の素材で、加工も楽ちん。
真鍮製は耐食性と耐アレルギー性は✖ながら、可愛らしい印象。ステンレス製、アルミ製、真鍮製のどれもが硬いステンレスワイヤーをキッチリ隙間なく巻き、かつ巻き始めと終りを綺麗に留めるなど、仕事の精度が売り物になるかどうかの分かれ目。すぐに真似する人が出て来るだろうが、よほどの探求心と根気がないと無理ですよ~( ´艸`)
帯を作った時にできる槌目を残すと、アフリカの手作り民具のような素朴で温かみのある印象になる。
槌目を消すとお上品な印象になるので、今後は作品毎に、そしてお客さんのお好みに合わせて作り別けていく所存。
美穂嬢からは赤福のあんころ餅と松坂牛の佃煮をお土産に頂いたが、このアイデアも探し続けていた答えになる有難いお土産。
音楽家、作家、映画監督、画家、宗教関係者、面白いお客さんなど、各地から訪ねてきてくれるのは縄文テーマのヒスイ加工をしているお陰。
様々な分野の話しを聞けるし、何気ない会話の中に仕事のアイデアを見つけたりもする。
他者との交わりはブレークスルーの機会。
お客さんは福の神、来訪神ですなぁ・・・。
投稿者プロフィール

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ヒスイの故郷、糸魚川市のヒスイ職人です。
縄文、ヒスイ、ヌナカワ姫の探偵ごっこをメインにした情報発信と、五千年前にヒスイが青森まで運ばれた「海のヒスイ・ロード」を検証実験する「日本海縄文カヌープロジェクト」や、市内ガイド、各種イベントの講師やコーディネーターをしています。
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