一杯のコーヒーに人間復興を想う
幼馴染の直子嬢が自分で焙煎したコーヒー豆を贈ってくれた。
直子嬢はハラール認証エージェント会社の社長なのでマレーシア出張が多く、コーヒー豆の他に乾燥デーツ(ナツメ椰子の実)なども入っていた。
生豆を丁寧にお湯洗いして、時間を掛けて焙煎したとのことで、雑味が無く深い味わいに歓喜。
コーヒー好きを自認するある陶芸家の工房に行ったら、メーカー無償貸与の機械を使い、一杯分ごとに真空パックしたコーヒー粉を淹れたコーヒーを出してくれて「自分で豆を買うより安くて新鮮な美味いコーヒーが飲めるから合理的なのだ。」と自慢していたが、確かに美味いものの何か物足りない。
私は自分で豆をカリカリ挽くのも、お湯を注いだ時にムワ~ッとコーヒーが盛り上がってくるのも愉しいし、味のバラつきに一喜一憂することさえ愉しいと感じる。
なにより友達が手間暇かけた逸品を惜しげもなく贈ってくれた行為が有難い。
「ヒトとヒスイの物語」をテーマにしたヒスイ職人は、「安くて合理的なコーヒー」ではなく「ヒトとコーヒーの物語」こそを愉しみたい。
ヒスイを主役にして丁寧に1点づつ完成させた勾玉と、人間の都合で1時間に1個の割合で量産された勾玉のどちらを選ぶかは人それぞれ。
優劣の問題ではなく、求めるものの違い。
21世紀の近代日本社会の中で、私はヒスイ加工や一杯のコーヒーを通して人間復興を想う。
投稿者プロフィール

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ヒスイの故郷、糸魚川市のヒスイ職人です。
縄文、ヒスイ、ヌナカワ姫の探偵ごっこをメインにした情報発信と、五千年前にヒスイが青森まで運ばれた「海のヒスイ・ロード」を検証実験する「日本海縄文カヌープロジェクト」や、市内ガイド、各種イベントの講師やコーディネーターをしています。
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