クロサワ映画ファン必読の「天気待ち」
確定申告が終わったら「矢でも鉄砲でももってこ~いっ!」と、夜は読書と映画鑑賞の日々。
黒澤明監督映画のスクリプター(記録係)として著名な野上照代さんの「天気待ち」が面白い!
例えば「羅生門」で、三船敏郎さんと京マチ子さんが深い森の中を延々と走る場面で画面がぶれずピントも合っているのは、望遠レンズを付けたカメラを中心に据えて、役者を同心円に走らせたなどの裏話の数々が紹介されている。
普通ならレールを敷いてカメラを移動させるか、クレーンで俯瞰撮影するところだし、「仁義なき戦い」の深作欣二監督なら、カメラを手持ちしたカメラマンを役者と一緒に走らせてピンボケやブレ画像にすることで緊迫感や臨場感を演出するだろうが、黒澤監督は固定したカメラをパン(カメラを振る)させることで疾走感を演出してた訳ですねぇ。
黒澤組の俳優やスタッフとの思い出話、名画誕生の舞台裏の数々が紹介されているので、映画ファン、黒澤ファン必読!
娘時代の野上さんは伊丹万作監督にファンレターを出した縁で映画界に入ったそうだが、伊丹監督亡きあとは息子の岳彦の面倒をみることになった。息子の岳彦とは後の伊丹十三!
最盛期にあった日本映画界と共にあった野上さんの人生に興味を持って調べたら、彼女は山田洋二監督作品「母べい」の原作者で、主人公の思想犯として獄死した大学教授とその家族は野上さん一家の実話だそうだ。
昭和の映画史のみならず、軍国主義時代に迫害を受けた生き証人でもあるのですな。
友人が野上さんにインタビューしたことがあるそうで、羨ましい限り。
投稿者プロフィール

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ヒスイの故郷、糸魚川市のヒスイ職人です。
縄文、ヒスイ、ヌナカワ姫の探偵ごっこをメインにした情報発信と、五千年前にヒスイが青森まで運ばれた「海のヒスイ・ロード」を検証実験する「日本海縄文カヌープロジェクト」や、市内ガイド、各種イベントの講師やコーディネーターをしています。
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