親不知の「波除観音」の由来・・・風景には物語りがある。
6年前の今頃、海のヒスイロード検証実験航海のトレーニングで、親不知を日帰り航海した。

シーカヤック船首は東を向いております・・・日本海の沿岸は、午前10時くらいから東から西に時速2キロくらいで潮が流れることが多く、青森方面に漕ぐのはけっこう大変です。

かっては狭い海岸線が加賀街道で、断崖に打ち寄せる波を避けながら海岸を歩いていたので、時には亡くなる人もいた天下の険。

ある時、子供を波にさらわれた母親が、必死に観音様に命乞いをしたら、運よく次の波で子供が返ってきた。

後日、その場所の断崖に観音様を祀ったのが「波除観音」で、まだ残っていたので写真を撮った。
残念ながら現在の親不知は、海岸浸食のために歩くことはできず、波除観音は海上からしか観ることができない。
高校で古典を習い、親不知の郷土史家として知られる蛭子先生に顛末を話して写真を進呈したら、海から撮影した初めての写真ということに感激され、教育委員会に申し出たらしく文化記録されるに至った。

風光明媚だけでは片手落ちで、風景の物語りを語ることが肝要。
絶景だけなら、佐渡や能登、男鹿半島、竜飛岬にはスケールも景色も敵わないのですよ。
親不知の風景がどこか物悲しいのは、人の哀しさが記憶されているからだと思う。
投稿者プロフィール

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ヒスイの故郷、糸魚川市のヒスイ職人です。
縄文、ヒスイ、ヌナカワ姫の探偵ごっこをメインにした情報発信と、五千年前にヒスイが青森まで運ばれた「海のヒスイ・ロード」を検証実験する「日本海縄文カヌープロジェクト」や、市内ガイド、各種イベントの講師やコーディネーターをしています。
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