不便を愉しむ・・・何もないけど豊かな筒石の海
遺跡巡りで大汗をかいた来客が、泳ぎたいというので筒石海岸にご案内。
遠浅の砂浜で岩場がある、ウネリが入り難い地形、付近に大きな河がないから濁り難く水温が高い上に、人が全然いないので、泳ぎが苦手な人でも安心できる海岸。
海を怖がる人でも水深1~2mから広がる岩場の水中写真を見せると、覗いてみたくなるのが人情で、ポイントまで浮き輪につかまらせて案内、箱メガネで海底を見せればウニやサザエが棲む竜宮城が広がる。
割れた定置網の浮きを差し出されて怪訝な顔をする客人に、「ミッキーさんの冠です!」と頭にかぶってみせると、破顔一笑。

筒石は漂流物の多さや種類が糸魚川随一で、この日は「ミッキーさんの冠」の他、ロシア製のウオッカの瓶、面白い形の流木などのお宝が拾えて、海遊びを堪能してもらえたようだ。
想像力を働かせれば、ゴミでさえもお宝になる。
観光という視点だと、筒石海岸は駐車場からのアプローチが悪く、シャワー、トイレ、売店などもないただの海岸。
しかしインフラ完備の便利さと引き換えに、「どこにでもある普通の海水浴場」になってしまっては、わざわざ県外から遊びに来た人を案内する気にはならないのだ。

潮の流れや濁り具合によっては、ヒスイが拾える親不知の勝山付近の海岸もいいが、海を怖がる泳げない子供がいる場合は、「不便だけど、糸魚川ならでは」の筒石の海を愉しんでもらっている。
投稿者プロフィール

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ヒスイの故郷、糸魚川市のヒスイ職人です。
縄文、ヒスイ、ヌナカワ姫の探偵ごっこをメインにした情報発信と、五千年前にヒスイが青森まで運ばれた「海のヒスイ・ロード」を検証実験する「日本海縄文カヌープロジェクト」や、市内ガイド、各種イベントの講師やコーディネーターをしています。
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