成長期にメデタサを感じる文化・・・縄文晩期の胎児形勾玉
頭でっかちで紐孔がでかい縄文晩期の勾玉は、わたしにはマンガチック表現の赤ん坊っぽく感じる。

朝日山遺跡出土の勾玉モデル。実物には黄緑系のロウカン質ヒスイで、白い斑(フ)がはいっている。

ところが中沢新一は生き物の生々しい形、グロテスクだと感じて、額部に刻みがあるものは魚のエラだと断定する。こちらも朝日山遺跡出土の勾玉モデル。わたしには額部の刻みがエラに認識しようもなく、おでこと鼻に感じるけど。
証明できないことを自分勝手に断定するのは、コメディ映画「ピンク・パンサー」のクルーゾー警部みたいな人ですな( ´艸`)
それはおいといて、縄文晩期の勾玉は淡いラベンダーヒスイが似合う。あえて黄色い不純物を残して出土品っぽい雰囲気を出してみた。

家を建てる時、施主に気付かれない屋根束の番付をわざと逆に書く風習があるのだと、横須賀の大工から聞いた。家が完成してしまうと古くなるだけなので、番付が間違った未完成で引き渡して、家運ますます登り坂とする縁起担ぎなのだそうだ。つまりは成長期をメデタシとする民俗例。
完璧なモノ、完全無欠なモノを目指さない寸止めの美学。
成長期にあるモノに感情移入する心情。
欠落したモノに侘び寂びを見出し愛でる視点。
こんなモノにわたしは余裕を感じて、なんだかホッとする。
投稿者プロフィール

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ヒスイの故郷、糸魚川市のヒスイ職人です。
縄文、ヒスイ、ヌナカワ姫の探偵ごっこをメインにした情報発信と、五千年前にヒスイが青森まで運ばれた「海のヒスイ・ロード」を検証実験する「日本海縄文カヌープロジェクト」や、市内ガイド、各種イベントの講師やコーディネーターをしています。
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