「ブックスサカイ」の売上に貢献して有終の美を・・・・河村好光著「ヒスイと碧玉の考古学」
弥生時代のヒスイ勾玉の実態を研究した「ヒスイと碧玉の考古学」を図書館で借りて読んだら面白く、4,400円するので古本を探していた矢先に、「ブックスサカイ」の閉店を知り、長年のお礼と餞別かわりに注文したら二日で届く。

縄文中期のヒスイ大珠は単独の首飾りであったようだが、縄文晩期にはヒスイ勾玉とヒスイのナツメ玉を連ねた連珠が登場して、弥生時代にはヒスイ勾玉を中心にして青碧玉の管玉を連ねた連珠が登場するようになるから、一概に「勾玉とは!」なんていえない。
選書コーナーにあった「日本神話の考古学」も、三種の神器のひとつ、八尺瓊勾玉に言及しているので参考文献として購入して、しめて5,000円ちょっとの売上貢献。
名前は知っていても誰でも見たことがない八尺瓊勾玉は、果たして単独の勾玉なのか?それとも連珠(れんしゅ・首飾り)なのか?
考古学の専門家は連珠説をとる人が多いのだが、「勾玉探偵」を自称するヒスイ職人からすると、絹糸や麻紐だと1,000年もすれば腐朽しているハズで、数千年の伝承に耐える連珠なら金鎖で繋いでいるのではないか?という疑問を持っている。
金鎖で連ねた有名な勾玉もあるにはあるが、出土状況がつまびらかでない江戸期の連珠で、類似品は朝鮮半島では沢山あるようでも国内では1点くらいであるらしく、この辺りも調べているところ。
単独の勾玉である可能性も、天皇家のレガリア(皇位継承の証しの宝物)として、勾玉を身につけなくなった飛鳥時代以降に制定されたのであれば、捨てがたいので保留。
勾玉は時代と地域により多少はちがうにしても、基本は呪具の側面をもつお守り、権威の象徴、そして皇位継承のレガリアと変遷していったのではないか。

閉店までにはスタッフお薦めの選書コーナーだけでも完売してほしい・・・。

「ブックスサカイ」の雑誌コーナーは心なしか寂しくなっていた。
投稿者プロフィール

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ヒスイの故郷、糸魚川市のヒスイ職人です。
縄文、ヒスイ、ヌナカワ姫の探偵ごっこをメインにした情報発信と、五千年前にヒスイが青森まで運ばれた「海のヒスイ・ロード」を検証実験する「日本海縄文カヌープロジェクト」や、市内ガイド、各種イベントの講師やコーディネーターをしています。
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