チーズナンを食って思い出したインド映画「ピザ!」・・・文化のグローバル化に物申す婆ちゃん

近所のインド料理屋でチーズナンなるものをはじめて食ったが、ピザとピタパンを足して二で割ったようで美味かった。

中空になったナンの中にチーズがはいっていて、熱いうちは食うたびに溶けたチーズがでてきて食いにくいけど美味いネ。西アジアにはガンモドキのような味と歯ざわりのカッテージチーズしかないから、外国人向けに開発した食い物だろうか。

インド映画「ピザ!」の主人公の兄弟が食ったら、なんていうかな?
カラスの卵を盗んでは食っている貧民街の兄弟が、街に外資系のピザ屋ができて300ルピーもするピザを食いたくなり、あの手この手でウエイ・トウ・ザ・ピザのロードムービーのようなコメデイタッチな文芸映画。
 
ピザを食いたがる兄弟の祖母は、ピザ屋のチラシの写真を頼りに、クレープのような伝統料理のマサラ・ドーサにトマトをいれてつくってくれるが、少年たちは納得できずに闇バイトに精を出す。
 
やっと溜めた300ルピーを握りしめてピザ屋にいったら、ここは貧乏人が来る店ではないと暴行されて追い返されるが、防犯カメラに写った顛末がテレビニュースとなり大騒動になる。
 
いつも裸足の兄弟はプロの俳優ではなく、カーストに入れてもらえないハリジャン(神の子)と呼ばれる、不可触選民なのかもしれない。
 
美男美女が出ず、歌も踊りもないこのインド映画は、深刻な格差社会の問題を扱いながら、すべてにおいてホドがいいヒューマンコメデイになっていて、昔の松竹コメデイをおもわせるホンワカした秀作に仕上がっている。
 
ラストに少年がアップになり呟くセリフがいい。
このラストで、いにも古風な少年の祖母が隠れ主人公の位置にいたことに気付いた。
この老婆の存在はインド文化の象徴といえ、西洋化がすすむインドに自国の文化を大事にしようと物申しているのではないか。
 
 
 

投稿者プロフィール

縄文人見習い
縄文人見習い
ヒスイの故郷、糸魚川市のヒスイ職人です。
縄文、ヒスイ、ヌナカワ姫の探偵ごっこをメインにした情報発信と、五千年前にヒスイが青森まで運ばれた「海のヒスイ・ロード」を検証実験する「日本海縄文カヌープロジェクト」や、市内ガイド、各種イベントの講師やコーディネーターをしています。

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