勾玉は祈りのカタチ、研磨は祈り・・・勾玉リメイクで思うこと
傷だらけの勾玉を研磨し直してほしいとの依頼(ビフォー編)

今どき滅多にお目にかかれない極上ヒスイ製で、まぶしいほどのピカピカに光沢はついているのだがカタチは歪で凸凹している。

触ると梨地のようなザラツキ感があり、6Bの鉛筆で撫でたら、無傷のところがないほどに深い傷だらけで真っ黒。

おそらく手持ちのハンドグラインダーで整形し、ろくに研磨せずに自動のバレル研磨機に長時間放り込んで艶をつけたのだろう。

ヒスイがかわいそう過ぎて哀しくなったヨ。
「沼名河の 底なる玉 求めて 得し玉かも 拾ひて 得し玉かも……」と、万葉集に詠まれたヒスイは、願ってもかなわない不老長寿の願いを託す特別なモノ、畏敬の念をいだく得難いモノだった。
現在は「いいヒスイさえつかえばカタチと研磨は適当でも売れる」と量産され、求める方も金さえ出せば買えるお気軽なアクセサリーの扱いの有史以来はじめてのヒスイバブル期だ。

右だけ腹部のエグリ以外を研磨してみた。腹部のラインがカクカクと一定のカーブを描いておりませんですナ
時代に抗うように「勾玉は祈りのカタチ、研磨は祈りそのもの」と考えるわたしは、映画「侍タイムスリッパー」の主人公みたいに戸惑うばかりで、時代遅れの男もいいとこ。それにしても哀しい。
投稿者プロフィール

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ヒスイの故郷、糸魚川市のヒスイ職人です。
縄文、ヒスイ、ヌナカワ姫の探偵ごっこをメインにした情報発信と、五千年前にヒスイが青森まで運ばれた「海のヒスイ・ロード」を検証実験する「日本海縄文カヌープロジェクト」や、市内ガイド、各種イベントの講師やコーディネーターをしています。
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