わたしが「勾玉とわぁ!ヒスイとわぁ!」と断言しない訳・・・縄文土器と蝶々のモノガタリ
「縄文土器と蝶々のモノガタリ」

はじめて作ったこの縄文土器は、実物を観察しながら初日は土器の造作と帯状の隆帯文を貼り付け、二日目に沈線を施文して完成させている。

ウズマキなどわかりやすい文様なら施文しやすいのだが、胴部の意味不明の文様は、どこから描いたらいいのかわからくて困惑。
初日を終えた夜、フシギな夢をみた。
おおきなアゲハチョウがヒラヒラと舞飛んできて、意味不明の文様の箇所にフワリと着地して、そのまま沈線文になる夢だ。
「あれは蝶々だったのか!」と閃き、翌朝はいとも簡単に施文できたのである。
これは証明しようもない個人的なモノガタリであって、本当に蝶々であるのかはわからないから、人に「これは蝶々です!」と断言はしない。
ヒトがモノゴトを理解するということは、解釈できるモノガタリを得るか否かであって、正解や不正解とは次元が違うと思うようになった。
だから数年後に、ぬなかわヒスイ工房を設立した時に、テーマを「ヒトとヒスイの物語」にした。

お客さんから勾玉の意味を聞かれると「なんに見えます?」と答えるし、ヒスイの効果を聞かれると「自分で感じるものであって、わたしが言うと霊感商法になっちゃいますよ」と答える。
ズバリと断言した方が商売しやすいのだが、「答えはあなたの中にあります」とお客さんに委ねるのは、わたしなりの誠意な訳。
投稿者プロフィール

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ヒスイの故郷、糸魚川市のヒスイ職人です。
縄文、ヒスイ、ヌナカワ姫の探偵ごっこをメインにした情報発信と、五千年前にヒスイが青森まで運ばれた「海のヒスイ・ロード」を検証実験する「日本海縄文カヌープロジェクト」や、市内ガイド、各種イベントの講師やコーディネーターをしています。
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