戦国の傾奇者に学ぶ・・・北斗七星彩色石笛
過去に作った北斗七星を彩色した石笛をみてのご注文。
星の色を単色ではなく、七個の星ごとに変えて欲しいとのことだが、小さな石笛の中に七色も使っていいものか・・・。
取敢えずネットで実際の北斗七星の色を調べてみたら、柄の先端から緑・黄色・白っぽい赤二個・青が二個、最後が赤であるようだ。
忠実に作るとなると全部で四色・・・それにしても色数が多すぎる。
彩色問題は保留して、取敢えず石笛を作っていく内に閃いたのが、戦国武将の伊達正宗所用と伝えられる「紫地羅背板五色乱星」という胴服だ。
正宗の「紫地羅背板五色乱星」。初めて観た時にはあまりにものアバンギャルドさにぶっとんだ。
胴服とは寒い時用の袖のある陣羽織の事で、くだんの胴服は、茄子紺地に五色の水玉を散らした奇抜な意匠なのだ。
戦国屈指の傾奇者として知られ、伊達男の語源とも伝えられる(正宗以前から伊達者という言葉はあった)正宗らしい陣羽織である。
火焔土器にしても、傾奇者の甲冑や陣羽織にしても、日本文化に代表される侘び・寂びとどう繋がっているのだろう・・・面白い。
という訳で正宗の先例もある事だし、勇気を持って四色に彩色したのがこれ!パステル調のラベンダーヒスイ様である。
光を透過させると浅黄の夜空に北斗七星が浮かび上がった。色調を合せるために、赤で下塗りしてから仕上げてある。
友達に見せて周ってもカワイイとかキュートとの評価で取敢えず安心。
注文主も喜んでくれたようだ。
こんな突飛もない石笛が世に出たのも、お客さんからの「無理難題」のお蔭。
つい守りのスタンダードに奔ってしまい勝ちなのだけど、自己完結せずにこんな冒険は大いに刺激になる。
常識に捉われてはいけませんですな!
投稿者プロフィール

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ヒスイの故郷、糸魚川市のヒスイ職人です。
縄文、ヒスイ、ヌナカワ姫の探偵ごっこをメインにした情報発信と、五千年前にヒスイが青森まで運ばれた「海のヒスイ・ロード」を検証実験する「日本海縄文カヌープロジェクト」や、市内ガイド、各種イベントの講師やコーディネーターをしています。
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