勾玉はお守り?・・・勾玉象嵌カンザシ
ヒスイ装飾品や勾玉がお守りとして認識されるようになったのは近代以降のことで、古代社会に置いては呪術的意味を持つ威信材であったらしい。
即ち、ヒスイ装飾品は縄文以来、誰でも気軽に身に付けられる装飾品ではなく、特別な身分の人だけに許されていた。
勾玉象嵌カンザシの新作は、左から桜・マホガニー(?)・黒柿・欅製で、マホガニーが?となっているのは、端材を分けてくれた友人のアメリカ人家具職人のラッセルさんも忘れてしまったから(笑)
勾玉本来の意味はともかく、現代において身に付ける人がお守りとして求めるのなら、作り手にはそれに相応しい料簡が必要と実感する出来事があった。
4月から行政がらみの大きな仕事で必要になるので、真上からの俯瞰撮影を勉強中。
和装が多い学識豊かな年配のご婦人から、想う処あって勾玉が欲しいのだが、普段から装飾品は身に付けないのでカンザシと組み合わせて欲しいという注文を受け、勾玉を象嵌したカンザシを作って納品したのが去年のこと。
手持ちの原石の中で最上級のヒスイを使ったら、カンザシの欅が透けて見える。
その後にある不思議な体験をされ、「勾玉って本当にお守りになるのね!」とシミジミと仰っておられた。
いたずらにヒスイや勾玉の神秘さを謳うのは本意でないし、ヒスイをパワーストーン扱いすることでさえ、私の忌み嫌う処でもある。
あくまでも個人の体験と実感。
だから小指の爪ほどの小さな勾玉でもフルスペックの仕事。
横から見ると微妙な曲面になっており、これは注文をした婦人の愛用のカンザシと同じ形状・寸法で作っているため。
お守りとして、あるいは気軽なアクセサリーとして捉えるかは、求める人次第。
でも私は、刀匠が刀を鍛えるように勾玉を作る。
投稿者プロフィール

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ヒスイの故郷、糸魚川市のヒスイ職人です。
縄文、ヒスイ、ヌナカワ姫の探偵ごっこをメインにした情報発信と、五千年前にヒスイが青森まで運ばれた「海のヒスイ・ロード」を検証実験する「日本海縄文カヌープロジェクト」や、市内ガイド、各種イベントの講師やコーディネーターをしています。
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