ドキュメンタリー映画「くじらびと」の船上は戦場だった!・・・命がけの撮影現場

揺れ動く舟の上からの写真撮影の経験がある人なら、映画「くじらびと」の迫真の映像に驚嘆するだろう。

写真は20~30度傾きつつ風上に向かい、ウネリを超えるたびにバンバンと縦揺れしながら6ノット前後(時速11キロ)で走るエズキズム号からの撮影で、座っていても片手はどこかに掴まらなければ恐怖を感じる状態。
この日、初めてヨットに乗ったゲストが「傾いてますけど、こんなに揺れて大丈夫ですか?」とビビっていたが、江塚オーナーと長谷川船長は余裕の表情。
 
私はこんな状況下では片手持ちしたコンデジ(コンパクトデジタルカメラ)のオートフォーカス撮影をしているが、一緒に動く船内はともかく船外の被写体なら画面から外れて使い物にならなかったりもする。
エズキズム号は艇尾が開いたオープン・トランサムだから、被った海水を排水しやすいく、海に飛び込んで遊んだりしたりしやすい構造。日帰りトリップの多いサンデーセイラーにはうってつけなヨット。赤いC字形の物体は浮き輪を便器に転用した青空トイレ( ´艸`)
 
しかし石川梵監督に「くじらびと」の撮影現場のことを聞いたら、コンデジとは比較にならない重くてでかい一眼レフカメラやムービーカメラをでマニュアル撮影、つまりどこにも掴まらずに両手でカメラを操作していたと聞いて、プロカメラマンの凄さに唸った。
 
漁師が船上にいても鯨からひっぱたかれて大怪我をしたり、死の危険と背中合わせなのに、石川監督の視界は周囲の状況がわかりにくいファインダー越し。
 
殺気立ち、鯨がぶつかって転覆しかける船上で、どこにも掴まらない撮影は転倒や撮影機材の破損もあったらしい。
 
落水したらせっかくの記録媒体がダメになり、最悪の場合は死ぬ危険もある撮影現場。鉄砲玉は飛んでこないにしても、これは戦場カメラマンの現場といっていいのではないか。
 
「くじらびと」は、観たあとから効いてくる。
 
 

 

投稿者プロフィール

縄文人見習い
縄文人見習い
ヒスイの故郷、糸魚川市のヒスイ職人です。
縄文、ヒスイ、ヌナカワ姫の探偵ごっこをメインにした情報発信と、五千年前にヒスイが青森まで運ばれた「海のヒスイ・ロード」を検証実験する「日本海縄文カヌープロジェクト」や、市内ガイド、各種イベントの講師やコーディネーターをしています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です