槍ガンナをつかってみた・・・みて真似をして、やってみて自己修正する「看取り能力」

カンナの薄削りに挑む「全国削ろう会」が糸魚川で開催されたので見学にいったら、宮大工が槍ガンナの体験会をしていた。
見様見真似で初挑戦してみたら、あっけないほどスルスルと削れて木屑がクルクルと丸まっていったので、見物人から「超うめー!」「スゲー!」と声があがってムフフ。
槍ガンナは台ガンナ以前からあった材木を平らに均す手道具。宮大工さんは薬師寺棟梁として有名な西岡常一さんの下で学んだ方であるらしい。
 
宮大工から「大工さんですか?」と聞かれたので「ヒスイ職人ですぅ。古武術ならってましたぁ」と答え、疑問点をアドバイスしてもらい、前の人が凸凹につけた刃の痕を平らに均した。
上の直径20㎜くらいのロールになるのが宮大工さんのカンナ屑で、下の半分くらいの太さがわたしのカンナ屑。この理由は材木に対して45度の角度が正しく、わたしは30度くらいの角度であるからだそう。初めての素人にしては上手だよね?w
 
宮大工から見たら上手とはいえないだろうけど、これは面白い!
削った痕をライトで照らすと細長いうろこ状になっていて、触らせてもらったら気持ちよかった。
 
プロが研いだ刃物で素性のいいヒノキ材を削るのだから、宮大工の動きを真似するだけで平らに削れて当たり前だと思うのだが、わたしの前後に挑戦した家具職人たちは四苦八苦していた。
こちらは台ガンナの薄削り「一般の部」の決勝。大勢の人に観られるので緊張するだろうねぇ。
 
たぶんだが、うまく削れない人は自意識や操作願望が邪魔をして、見たままを真似することができないのではなかろうか。武術用語の「看取り能力」というヤツ。
 
大工に火起こしを教えると一発で成功したりするのは、見て覚え、やってみて自己修正する「看取り能力」が高いからだと思う。ヒスイ加工も、何年経っても巧くならない人は観察や工夫をしないもんねぇ。
 
 
 

投稿者プロフィール

縄文人見習い
縄文人見習い
ヒスイの故郷、糸魚川市のヒスイ職人です。
縄文、ヒスイ、ヌナカワ姫の探偵ごっこをメインにした情報発信と、五千年前にヒスイが青森まで運ばれた「海のヒスイ・ロード」を検証実験する「日本海縄文カヌープロジェクト」や、市内ガイド、各種イベントの講師やコーディネーターをしています。

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