ふたつの映画「野火」を見比べましょう・・・戦争経験者と戦争を知らない世代をつなぐ
市川崑監督の映画「野火」を2015年にリメイクした塚本晋也監督が、戦後80年の節目に戦争世代と戦争を知らない世代の映画つくりの違いについて面白いコメントをしていている。

塚本版の主人公は監督ご本人。初期の「鉄男」の頃から自作自演していたが、「シン・ゴジラ」では科学者役を堂々と演じてましたねぇ。

塚本版ポスターがこちら
市川版では主人公が栄養失調で歯が抜けて人肉を食べられず、塚本版はホラー映画ばりのグロテスクな描写で人肉を食べる場面があるのだが、戦争体験者なら比喩や暗喩で通じる描写が、イメージが共有できない戦後生まれには、そこまで描かないと訴求力がないとのこと。
同じ原作でもまるで違うこの二本の映画を見比べて、戦争体験者が共感した描写を学ぶのも意義があり、戦争のリアリズムの世代間ギャップを伝える両輪の映画ではなかろうか。

市川版で最も印象にのこったのは、兵士が久しぶりに塩を舐め、無言て涙をながす場面。この場面でインパール戦・ビルマ戦を生き抜いた祖父を想い、わたしも涙した。

主人公は船越栄一郎さんの父親の船越英二さん。
わたしの世代だと「女将さん時間ですよ」のプラモデル好きな銭湯の主人役や「熱中時代」の校長先生役など、お人好しの善人の役柄のイメージだけど、野火では淡々と深い演技をみせている。
投稿者プロフィール

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ヒスイの故郷、糸魚川市のヒスイ職人です。
縄文、ヒスイ、ヌナカワ姫の探偵ごっこをメインにした情報発信と、五千年前にヒスイが青森まで運ばれた「海のヒスイ・ロード」を検証実験する「日本海縄文カヌープロジェクト」や、市内ガイド、各種イベントの講師やコーディネーターをしています。
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