罵倒語「ダボ」の謎を追え!・・・岡本喜八作品「ダイナマイトどんどん」

バカ・アホ・ダラ・タワケではなく、第五の罵倒語「ダボ」をつかっている地域の方は教えてください!W
 
海のイベントで丸木舟を漕いでヘロヘロになり、寝る前にボケ~としたくて無料サービスを検索。
 
YouTubeで映画「ダイナマイトどんどん」が2週間限定で無料視聴できると知って久しぶりに観たが、北九州のヤクザ役の文太さんが「ダボ!」「このダボめぇ!」「クソダボゥ!」を連発していて驚いた。
「県警対組織暴力団」では呉警察の刑事役でダボを連発していたが、同じく呉のヤクザ役を演じた「仁義なき戦い」では誰もつかっていないのが不思議。
 
新潟県内の罵倒語はバカが一般的でも、西はずれの糸魚川付近だけはダボだ。
ところが富山県にはいった途端に罵倒語はダラになるのに、砺波市付近だけはダボであったり、アホ文化圏の関西にあって播州方言だけはダボであるらしい。
放言は同心円状に分布していない不思議さが面白い。ちなみに糸魚川弁のイントネーションや接頭語、語尾は、岐阜の郡上八幡方言によく似ている。
 
本作は岡本喜八監督作品。
戦後まもないころの北九州のヤクザが野球で勝負した実話が元になっており、刃傷沙汰が絶えないので警察が介入して「日本古来の任侠道を民主的に野球で勝敗を決める」ことになった。
 
綺麗どころの芸者衆が三味線を弾いて「わたしゃ売られていくわいなぁ・・・」とお座敷唄のドンドン節で応援する場面がいい。
東映の深作組、東宝の岡本組の常連俳優のキャストにくわえて、ヒロインは日活ロマンポルノ女優の宮下順子。
「任侠!」という言葉だけが話せる中風の親分役の嵐勘三郎のコメデイ演技・・・みんないい。
 
金子信夫演じる新興ヤクザの親分が「親分の恥は子分の恥ぢゃ!」と、広島弁の「仁義なき戦い」のセリフを北九州弁で言わせているのもいい。
全編が東映の任侠映画、実録シリーズのパロデイになっているのだ。
 
キザなピッチャーを演じる田中邦衛の怪演技がいいし、意外と野球がうまいのもいい。
 
それでいながら戦災孤児、傷痍軍人、夜の女といった戦争を物語る登場人物に温かい目線をむけるのは岡本喜八作品ならでは。
賛否両論の評価がある作品だけど、わたしは好きですねぇ。
 
 

投稿者プロフィール

縄文人見習い
縄文人見習い
ヒスイの故郷、糸魚川市のヒスイ職人です。
縄文、ヒスイ、ヌナカワ姫の探偵ごっこをメインにした情報発信と、五千年前にヒスイが青森まで運ばれた「海のヒスイ・ロード」を検証実験する「日本海縄文カヌープロジェクト」や、市内ガイド、各種イベントの講師やコーディネーターをしています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です