ヒスイ職人の哲学、プライド・・・ちょっといい話し
ある人から矢尻形のヒスイ製ペンダントの注文があった。
私はヒスイ職人になる以前から趣味で石器を作っており、職人になってからというもの猫も杓子も勾玉ばかり作っているので矢尻形ペンダントを作り始めて五年目になるが、ある心無いヒスイ関係者がデザインを真似している。
ラベンダーヒスイ製の矢尻形ペンダントはふっくらと立体的な断面形状を持っている。こんな矢尻形ペンダントが弥生時代の遺跡から出土しているが、勇者の胸を飾っていたのだろうか。
もっと酷いのは石笛で、試行錯誤して考案したペンダントタイプの石笛は今や多くの人が真似しているし、私に注文した石笛を「苦労して作ったオリジナル石笛」と自分のサイトで売って、しかも私の説明文をそのままコピーしている豪胆な女性までいる。
要するにモノ作りに哲学とプライドもなく、売れればいいというだけの人が多いのだ。
でもコピー商品は写真を観てもすぐ解る・・・品がないのだ。
私は人の真似なんかしたいとも思わない。
結構な厚みがあり、稜(中央の峰)がクッキリ立っているシンメトリックな立体構造なので、勾玉しか作らない人なら完全コピーは難しいでしょうなあ。
シンメトリックな立体は手間暇がかかるのだ。
矢尻形ペンダントを注文した人がぬなかわヒスイ工房に訪ねて来た。
ぬなかわヒスイ工房オンラインショップをよく観ているそうで、矢尻形ペンダントをどこにもないオリジナル作品と気に入って、最初は懇意にしているヒスイ工房に同じデザインのペンダントを作って欲しいと頼んだそう。
ところが「これは、ぬなかわヒスイ工房のオリジナル。俺には作れん!」と断られて、私の所に来たそう。
いい料簡である。
断ったヒスイ工房も他人の真似はしないオリジナルに拘っている人で、私とも昵懇な間柄。
日頃はヒスイ関係者とあまり交流はないのだけど、こんな料簡の人なら話が通じる。
投稿者プロフィール

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ヒスイの故郷、糸魚川市のヒスイ職人です。
縄文、ヒスイ、ヌナカワ姫の探偵ごっこをメインにした情報発信と、五千年前にヒスイが青森まで運ばれた「海のヒスイ・ロード」を検証実験する「日本海縄文カヌープロジェクト」や、市内ガイド、各種イベントの講師やコーディネーターをしています。
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