疑わしくは比重を計ろう!・・・インドヒスイもヒスイのうち?
知人が観て欲しいと持ち込んだのは巨大な勾玉。
研磨は稚拙だが透明感と発色が素晴らしく、硬玉ヒスイなら最高品質の琅玕 (ロウカン)である。
案の定、持ってみたら手が持ち上がるかと思うほど異様に軽い(笑)
カーネギーホールでリサイタルをしたこともあるという有名な音楽家から鑑定を依頼され時と同じパターン。
こんな時は比重測定するに限る。私の秤は家電屋さんで買った3,000円もしない安物のデジタル計量器だが、精度はともかく0.1g単位で測定できる。
比重測定は最初に測定したいものだけを計る・・・166.1g。
次に水を容れた軽い容器を秤に載せて風袋ゼロに設定。
測定物を紐で縛って水の中に吊るし軽量・・・63g
容器の底や壁面に測定物が当たらないように・・・本来は水を吸わないテグスを使うが、無かったので木綿紐で代用・・・精度無視(笑)
比重の計算方法は166.1g÷63g=2.64(比重)
硬玉ヒスイの比重は3・5前後だから間違いなくヒスイではない。
硬玉ヒスイのまがい物の中で最も近い比重はインドヒスイ(グリーンアベンチュリンクオーツ)の2.65だから、かなり疑わしい。
夕方だったので詳細な目視観察ができなかったが、キラキラした結晶が浮き出ていたのでインドヒスイではないだろうか?
簡単に言えば緑色の石英で、糸魚川でもたまに拾える。
見た目の次点候補はメタジェイド(硬玉ヒスイの模造品として開発された不透ガラス製品・比重2.7)だが、ちょっと軽すぎるようだ。
メタジェイドは中国製のフェイクヒスイに多いのだけど、調べてみたら日本人の飯盛里安という人の発明であるらしい。
悪魔の発明か人類の英知かは私には解りかねる(笑)
ちなみに某所で観察させて頂いた歴史的遺物の勾玉はもっと深い緑色をしていたが、持っただけで糸魚川ヒスイではないと解る軽さだった。
その時は目視観察だけだったので石英系ではなさそうだった・・・一体何だったのか今もって疑問。
投稿者プロフィール

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ヒスイの故郷、糸魚川市のヒスイ職人です。
縄文、ヒスイ、ヌナカワ姫の探偵ごっこをメインにした情報発信と、五千年前にヒスイが青森まで運ばれた「海のヒスイ・ロード」を検証実験する「日本海縄文カヌープロジェクト」や、市内ガイド、各種イベントの講師やコーディネーターをしています。
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ヒスイの名前をつけてほしくないもんだ
翡翠拾いに行く一昔前(笑)はインド翡翠(アベンチュリン)とかオーストラリア翡翠←あったよーな記憶、なものがいくつかあったけど 単に翡翠みたいな緑だから安易に付けてほしくないですよね〜。
知識ない初心者は翡翠!と信じ込んで買っちゃう。
スピリチュアル系アクセサリー売ってる店でも効能うたって飾られてたりするけど 翡翠とアベンチュリンは鉱物的に別物だし、値段的に違う‼︎。
騙す奴にとって儲けあるけど。
本物と思って買ったのが実は赤のニセモノと知ったら悲しいですよ〜‼︎。
約20年前に ハワイに行った時ホテルロビー一角で日本人女性が宝石売ってた所で翡翠ペンダントトップを買い、後年知り合いの宝石店の人に見てもらったら色の薄い翡翠に着色した物と言われた。
ニセモノじゃないけど、微妙な気分に。
飯盛ストーン、今はもう作られてないから鉱物界では一部マニア居ます。
基本天然物なんで、高値だったり天然物では出ない色目が出せるのかもしれないけど私は欲しいとは思わない。人工スタールビー等やYAGでちゃんと人工と表記してるお手頃価格のは数個所持。
ブランフェムト様
糸魚川でも何十年か前にインドヒスイを売っていた時期があるようで、買い取って欲しいと持ち込まれて来たことがあります。
売った側は知らずに売ったのならまだいいのですが、知って売ったなら困ったものです。