1983年の映画「ふるさと」を観ずに死ねるか!・・・名優、加藤 嘉さんの存在感
「僕の村が日本地図からなくなる」というキャッチコピーだけでウルウルしてしまった、1983年の映画「ふるさと」に感動。
ダムに沈む運命の岐阜県の山村の最後の夏、妻に先立たれて呆けかかったアマゴ釣り名人の老人と少年が秘密の淵に釣りに出かける・・・。
生涯で400本の映画に出演した名脇役の加藤 嘉(かとうただし)さんが、初めて主演した本作でモスクワ国際映画祭の主演男優賞を受賞。枯淡の演技がお見事というほかない。
消沈して岩に腰かけ川に見入る場面、呆けて村を歩く場面、少年に釣りを教えることで生気を取り戻し沢を歩く場面のどれをとっても絵になる。長門裕之さんなどの脇を固めるベテラン俳優たちも流石の存在感。この映画は「老人と海」の日本の山村版「老人と川」だ。
「おらぁ、ひとりで山に入っても、樹も川も生きているから、少しも寂しくなんかねぇ」と少年に訥々と語る老人は、縄文以来、一万年も続いた村の歴史そのもののような存在。街では生きていけない男なのだ。

ラスト近く、秘密の淵で倒れた老人が若い頃を回想する。新婚時代の老人役の篠田三郎さんと新妻役の岡田奈々さんが神々しいほど美しく、その生涯を閉じようとする老人と、一切を静かに見守る渓流の風景もまた美しい。

岡田奈々さんの初々しさと滅びゆく村の対比が、ことさら哀れを誘う。
滅びゆくものは美しいのですな。廃校となる村の小学校の最後の学芸会で「ふるさと」を合唱する子供たち、一緒に歌う村人たち・・・涙腺崩壊。
お年寄りも故郷の山河も大事にせんきゃいけんですネ。
アマゾンプライムで無料視聴できます。多くの人に観て欲しい名画。
投稿者プロフィール

-
ヒスイの故郷、糸魚川市のヒスイ職人です。
縄文、ヒスイ、ヌナカワ姫の探偵ごっこをメインにした情報発信と、五千年前にヒスイが青森まで運ばれた「海のヒスイ・ロード」を検証実験する「日本海縄文カヌープロジェクト」や、市内ガイド、各種イベントの講師やコーディネーターをしています。
最新の投稿
災害(輪島漆器義援金プロジェクト・ボランティア・サバイバル)2025年10月20日「自分にできること」・・・能登半島地震ボランティア
糸魚川自慢2025年10月19日大人になった気分デス・・・充電式ブロアーと「あさひ楼」のラーメン
ぬなかわヒスイ工房・ヒスイ2025年10月17日現代の勾玉のつくられ方・・・時代おくれのヒスイ職人の独り言
糸魚川自慢2025年10月13日縄文キッズ養成講座「丸木舟体験会」・・・糸魚川の浜言葉でオモテナシ