糸魚川ヒスイを海外に売るには?という発想に物申す
催事場でアクセサリー販売をしているのは6社あるが、自作しているのは私だけ。
他の方は輸入品販売のみか、あるいは仕入れた輸入品パーツを自分でデザインして組合せて売る業者で、その対費用効果と手ばなれの良さに感心する。

沖縄から来ている兄貴は、接客時間以外はせっせと会場で売れそうな価格帯とデザインのアクセサリーを組合せて作り続け、視界にお客さんが入るとサッと接遇できる態勢で、師匠と呼んで教えを受けている。
そしてそのスタイルは、多種多様なお客さんが来る百貨店の催事場では圧倒的に受けがいい。

他の業者さんも各地の催事場を渡り歩いているので、展示方法や商品揃えは、なるほど!と感心する。
とびきり土俗的な私のブースは、クラフト展や工芸品展、個展に特化しないと埋没してしまうということが身に染みた。
そして・・・ヒスイは外国の宝石の代替品のように扱ってはいけないと、改めて原点回帰指向を強めつつある。
どこへの原点回帰なのか?むろん縄文文化だ。
ダイヤやルビー、サファイアに比べヒスイは地味だから、貴金属と組合せたお洒落な商品を海外に持っていかないと売れないのだ、と糸魚川の企業人たちはいう。
しかし、どんな高名なデザイナーのヒスイ製品でも、宝石の土俵でヒスイを評価している限りは、同じ緑色のサファイアより高くは売れはしないということに気付いて欲しい。
もし時流に乗っても、中国のバイヤーが静観しているはずはなく、安い加工賃と糸魚川ヒスイを凌駕する高品質と豊富な産出量を誇るミャンマーヒスイに取って代わられるだろう。
ダイヤやサファイアに勝てるのは、縄文以来5,000年間ちかく日本列島で愛され続けたヒスイの歴史、すなわちヒトとヒスイの物語でしかない。
それは世界に誇ることのできるオンリーワン。その象徴が勾玉なのだと考える。
モノ売りから物語の発信の転換を!・・・我ながら壮大かつ立派な料簡だとは思うが、それでどうやって食っていくのか?
それが問題だ。
投稿者プロフィール

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ヒスイの故郷、糸魚川市のヒスイ職人です。
縄文、ヒスイ、ヌナカワ姫の探偵ごっこをメインにした情報発信と、五千年前にヒスイが青森まで運ばれた「海のヒスイ・ロード」を検証実験する「日本海縄文カヌープロジェクト」や、市内ガイド、各種イベントの講師やコーディネーターをしています。
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