「石には意志がある」のか?・・・ラーマクリシュナに学んだヒトとヒスイの物語の原点
たまに来客から「石には意志がある」と言われると口には出さないが、それならウラン鉱石は核兵器になる意志をもってるのか?と問いかけたくなる。

ヒスイばかりが石ぢゃないぜ!赤メノウもまた美しい
鉱物には個々の物性はあっても「在る」だけで、どんな利用をするのかは「人間の意志」によるのであって、単なるゴロ合わせでしょ、とわたしは思う。

この発想は19世紀のインドの聖人ラーマ・クリシュナが、「ブラフマンは宇宙の創造神だが、ブラフマンだけでは『在る』だけでなにもおこらないよ。時を司る造化の女神カーリーと結婚してはじめて宇宙は動きだしたんだ。つまりはブラフマンは時計でカーリーはゼンマイ仕掛けみたいなもんだね」との問答を、弟子が記録した「不滅の言葉」(中公文庫)で見つけて感動したことが原点になっている。
ちなみにヒンドゥー語の時はカーラで、ラーマクリシュナがカーリー・マー(カーリー母さん)と呼び、信仰の中心に据えていたカーリー神が語源。

加工に不向きな石肌が荒れた鉄石英でさえ「人間の意思」次第で、個性として評価して作品になる・・・ラーマクリシュナの言葉を借りると造化したのかな?

現代人の誰もが価値がないと思っている蛇紋岩も、「人間の意思」で魅力的な作品になる
そんな理由から「ヒトとヒスイの物語」をテーマにして、ヒスイをパワーストーン扱いせず、文化的存在としての価値を重んじ、「人間の意志」の修行としてヒスイ以外の石を作品化も大事にしている。

ヒスイ以外の素材で作品をつくっていると、ヒスイの魅力も新鮮に感じるというもの
しばらく加工から離れて工房のリニューアル工事ばかりしていたら、創作意欲が湧いてきた。
仕事をはなれて俯瞰する時間も大事ですな。
投稿者プロフィール

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ヒスイの故郷、糸魚川市のヒスイ職人です。
縄文、ヒスイ、ヌナカワ姫の探偵ごっこをメインにした情報発信と、五千年前にヒスイが青森まで運ばれた「海のヒスイ・ロード」を検証実験する「日本海縄文カヌープロジェクト」や、市内ガイド、各種イベントの講師やコーディネーターをしています。
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