戦争を学ぶ入門書に水木しげるの戦記漫画を!・・・「総員玉砕せよ!」
在京時に滞在したカプセルホテルの休憩所に本が沢山あり、風呂あがりのクールダウンに利用。

映画は視聴しても原作を読んだことのない「永遠のゼロ」があったので拾い読みしたら、やはり映画と同様に軍隊ではあり得ない荒唐無稽な描写が目につき、保守層受けねらいがあざといポピュリズム小説だった。
戦争を知らない世代の孫が基本的な知識もないまま、特攻で亡くなった祖父の人物像を調べるために関係者たちに話を聞いて回って真相が浮かび上がってくるのだが、本気ならまず将兵の戦記や昭和史の本をたくさん読んで勉強して、県庁から祖父の兵籍簿や部隊略歴を取り寄せて熟読した上で、不明な部分を関係者に聞いてまわるのが本筋だし礼儀だろ!と腹がたってくる。

主人公の姉といい仲になった若い新聞記者が元特攻要員だった老人のインタビューに同行して、「特攻隊員は軍国主義に洗脳されたテロリストだったのではないですか!」と糾弾する場面があるのだが、あまりにも史実を知らすぎるし、感情をむき出しにして個人の価値観を前面に出しては取材にならんから記者失格で、お姉ちゃんはこんな男と結婚してはいけないw。
要するに右翼オヤジの左翼史観批判らしいが、あまりにもステレオタイプで時代錯誤な描写もいいところで、こんな本を読んで史実を知ったつもりになっちゃいけない。右翼史観の勉強にはなるけどネ。
ちなみにわたしの歴史観は右翼、左翼といった二項対立的なバイアスとは関係のない客観的な立証主義の立場だ。
戦争について何も語らなかった祖父の没後に、かっての部下だった方の弔問の手紙でインパール戦・ビルマ戦から生還したことが判明して、祖父の慰霊のつもりで兵籍簿と部隊略歴を取り寄せ、将兵の戦記と対応させて補完したファミリーヒストリーをつくって親族に配った。
帰宅後に口直しに水木しげるの戦記漫画を読んだ。

水木さんが貸本屋の漫画を描いて苦労していた時代の「白い旗」、「ゲゲゲの鬼太郎」で売れっ子になってから、出版の目途もなく執念で描きあげたのが「敗走記」「総員玉砕せよ!」だ。
「総員玉砕せよ!」の後書きに「この漫画に描いてあることは90%本当にあったことです」と書いてあり、登場人物はすべてモデルがいてキャラクターノートもつくっていたそうだ。
戦争を学ぶなら、戦争体験者のリアルな戦記を入門書にしてほしいもの。
投稿者プロフィール

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ヒスイの故郷、糸魚川市のヒスイ職人です。
縄文、ヒスイ、ヌナカワ姫の探偵ごっこをメインにした情報発信と、五千年前にヒスイが青森まで運ばれた「海のヒスイ・ロード」を検証実験する「日本海縄文カヌープロジェクト」や、市内ガイド、各種イベントの講師やコーディネーターをしています。






