「誰も責めない、誰も孤立させない」を信条にした反原発運動・・・七沢潔著「原発をとめた人びと」
能登半島地震の震源域の真上に計画されていた珠洲原発が稼働していたらどうなったか?

建設予定地だった高屋町は壊滅的な被害をうけ、道路が寸断して孤立した。

震度6強は車が飛び上がり、ひっくり返るほどの揺れだったそうだ。
この付近の海岸は最大で1.5mも隆起したので、最悪の場合は海から冷却水が取水できずに原子炉がメルトダウンして、東日本大震災の時のように爆発した可能性はある。

日経クロステックの記事から転載(https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/02706/013100062/)
また笹川財団の研究者によると、能登半島の北側沿岸は、7,000年の間に三度の巨大地震により隆起した「海海段丘」が形成されているそうだ。

(ウエザーニュースから借用)
冬の北西風と対馬海流に運ばれた放射線は、石川県~北海道までの日本海沿岸は避難地域にしたかも知れない。
本書「原発をとめた人びと」には地縁・血縁・縁故にしばられた保守地盤の珠洲市が、過疎化対策として誘致した原発を、住民がいかにストップさせたかが詳らかに書かれているのだが、「能登はやさしや土までも」を地でいく穏健で粘り強い反対運動に涙がでた。

電力側から供給された豊富な資金を元に、誹謗中傷と買収で住民の分断をあおる推進派に対し、反対派は「誰も責めない、誰も孤立させない」を信条に、たおやかな草の根運動で対抗した。
住民運動など無縁だった反対派たちは、福井原発の実態を学びにいったし、活動家から反対運動のやりかたを学んでいった。
反対派の大黒柱になったのは漁師の女将さんたち。
雇用が生まれると説明されて、「放射能みたいな恐ろしいもの触るんだからどうするんや?」と問うと、助役(副市長)は「そういうものは外人さんにやってもらえばいい」と、平然と答えたそうだ。
能登は浄土真宗の門徒が多く、「危険な作業を外国人にやらせる」といった回答に、阿弥陀様の前では誰でも平等とする親鸞聖人の教えに反する外国人差別ではないか!と、説明会は紛糾。
浄土真宗は差別意識に敏感な宗派なのだ。
30年ちかくつづいた闘争は、推進派だった自民党の県知事が亡くなり、中道の立場をとる非自民の県知事が誕生したことと、バブル崩壊で電力需要が減ったことや、電力側の不正行為と推進派の不正選挙なども発覚して、原発建設の熱気は徐々にトーンダウンして凍結。
珠洲を去る電力社員は、金の話でもめる推進派より、立場をおもんばかってやさしく接してくれる反対派の方が好きでしたと、ジャケットの内側につけた反対派のバッジを見せてくれたそうだ。
ついでながら書いておくと、電力会社には「土地を買うのではなく心を買え」と書かれたマニュアルが存在したし、ゼネコンや土地ブローカーが暗躍して、珠洲市長や市の幹部たちが原発予定地を秘かに購入していたことも判明している。
そして、2024年元旦に発生した能登半島地震で珠洲の人々はどう動いたか?
反対運動で民主主義の在り方を身をもって知った被災者たちは、推進派と反対派も分け隔てのない「共助」を実践した。
阿弥陀様の前では推進派も反対派もないということ。

「能登はやさしや土までも」は、本書により浄土真宗の平等思想を抜きにしては語れないようだ・・・なんまんだぶなんまんだぶ
原発にかかわらず公共事業に異議申し立てをしたい人にいい参考書になるだろう。
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投稿者プロフィール

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ヒスイの故郷、糸魚川市のヒスイ職人です。
縄文、ヒスイ、ヌナカワ姫の探偵ごっこをメインにした情報発信と、五千年前にヒスイが青森まで運ばれた「海のヒスイ・ロード」を検証実験する「日本海縄文カヌープロジェクト」や、市内ガイド、各種イベントの講師やコーディネーターをしています。






