糸魚川に糸魚川という川はないよぅ!・・・小松左京著「日本沈没」
70年代に発表された「日本沈没」は、田中角栄や福田赳夫といった歴代首相も読むほどの社会現象をおこし、現在も読み継がれて累計490万部をこえる大ベストセラーになっている。*糸魚川図書館にあります

パレスチナ難民に心を痛めた小松左京は、「日本人が国を失い放浪の民族になったらどうなるのか?」と仮定し、地球物理学者の竹内均の「プレート・テクニクス理論」にヒントを得て、9年がかりで書いた本書は、単なるパニック小説におわらず、民族アイデンティティとは?基本的人権とは?を問いかけている。

難解なプレート・テクニクス理論に、独自のアイデアを加えて「日本沈没」の理論武装を構築した小松左京は、とんでもなく頭脳明晰だったのだろう。映画にはご本人もカメオ出演している。
上巻は地球物理学の専門書のような詳細さで「第二次関東大震災」までを描き、下巻は世界各地に避難させる艱難辛苦と、日本列島が沈没するまでが詳細に描かれている。

竹内均も首相官邸でプレート・テクニクス理論を説明する役で出演している。わたしの中学のころに教育テレビでも講義していたので、当時はタモリが「地球のワレメがですね・・・」と物真似をしていた。
実際に1億数千万の日本人難民が、徒手空拳で海外に避難する想像すると、最初は人道支援で受け入れてもらえても、やがて食料問題や就業の軋轢がでてきて、言語と文化の違いもあって厄介者として差別されるだろう。
海外に資産をもつ富裕層や、スペシャリスト以外の大多数の日本人難民は、まさしくパレスチナ難民とおなじ境遇になるに違いない。
本書には、「日本列島と心中」する人々も描かれている。
日本人とは、日本の山河に育まれた歴史をもつ民族と定義して、列島と運命を共にするといった人たち。
あるいは、若い人が助かってくれればいいと、避難を辞退する老人たち。
緻密この上もない本書にあって、笑ってしまう部分もある。
糸魚川を河の名前と勘違いして、最後の章で「糸魚川渓谷」「糸魚川水系」「糸魚川上流の小滝」「糸魚川右岸と左岸で10mの断層ができた」とか書いてあるのだ。
知人の学者も同じ誤りをしていたので指摘したら、「若気の至りでして」と苦笑いしていたが、糸魚川には糸魚川という川はありません!w
首都圏在住の人にとっての本書は、首都圏直下型地震のシュミレーションになります。
ただし、本書が書かれた70年代にくらべ、耐震基準は厳しくなり、防災対策は充実した一方で、悪条件も増えている。
・タワーマンションの林立
・地下埋設インフラの老朽化による陥没
・SNSによる流言飛語の拡散。
特にSNSの流言飛語の拡散により、集団ヒステリーに陥った人々は、関東大震災の「朝鮮人虐殺」どころではない暴動をおこすだろう。
個人が対策できるのは、流言飛語にだまされないことくらい。
日ごろから、陰謀論やフェイク情報にだまされないように、立証主義的な思考方法を訓練をするしかないネ。
戦争がおこるたびにプロパガンダ情報を拡散したり、災害のたびに陰謀論やフェイク情報を拡散する人は、人命に関わるフェイク情報の拡散は犯罪だと自戒してほしいのだが・・・そんな人も集団ヒステリーに陥っている訳で、正論は耳にはいらないのが問題ですな。
#日本沈没 #パレスチナ難民 #首都圏直下型地震 #関東大震災 #災害ボランティア #災害サバイバル #災害時の流言飛語の拡散は犯罪
投稿者プロフィール

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ヒスイの故郷、糸魚川市のヒスイ職人です。
縄文、ヒスイ、ヌナカワ姫の探偵ごっこをメインにした情報発信と、五千年前にヒスイが青森まで運ばれた「海のヒスイ・ロード」を検証実験する「日本海縄文カヌープロジェクト」や、市内ガイド、各種イベントの講師やコーディネーターをしています。





