「赤ひげ」その5・・・黒澤マジックの雪

新潟県人のわたしでさえ、雪が降るのを待って撮影したのかと思い込んでいた雪の名場面は、なんと、お麩とカポックが雪の正体で、たった20秒のこの場面に3千本の麩と250キロのカポックをつかったことが、黒澤明研究会編纂のムック本「黒澤明 夢のあしあと」に書かれていて、見事にだまされていたことを知る・・・スゲー!。

地面の雪は白竜石(石灰石の骨材)を敷き散らし、屋根の上の雪は塩だったそうで、黒澤さんも助監督時代に率先して塩を屋根に盛ったことが、自伝「蝦蟇の油」に書かれていますな。

してみると、二木てるみが演じたおとよが、窓辺に積もった雪を掌にとり、水桶にいれて保本の頭を冷やす場面も、お麩+カポック→シャーベット状の氷を繋いだか、窓辺に積もった雪だけはシャーベット状の氷をつかったものか?

いかにも掌が冷たそうでイジらしくなるのだけど、これぞ冬は夏に、夏は冬に撮影した方がいい芝居になるという黒澤マジック!

知らない人のために豆知識。

カポックは観葉植物のカポックの実の綿のような繊維で、戦前から救命胴衣の浮力体に利用されていたので、海軍航空隊では救命胴衣をカポックと呼んでいた。

今でも海自にカポックと呼ぶ伝統が残っているそうだが、古いヨットマンがカポックと呼んでいたりすると、海好きのわたしは潮っ気にニンマリしてしまう。

#クロサワ映画 #黒澤明 #赤ひげ #映画の雪

投稿者プロフィール

縄文人見習い
縄文人見習い
ヒスイの故郷、糸魚川市のヒスイ職人です。
縄文、ヒスイ、ヌナカワ姫の探偵ごっこをメインにした情報発信と、五千年前にヒスイが青森まで運ばれた「海のヒスイ・ロード」を検証実験する「日本海縄文カヌープロジェクト」や、市内ガイド、各種イベントの講師やコーディネーターをしています。

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