青森の縄文遺跡でカワサキ舟模型を発見・・・赤羽正春先生を偲ぶ
大正時代に糸魚川の漁民が北海道に移住した時の「カワサキ船」の模型は、新潟県村上市の民俗博物館に1点しか確認されていないので観にきなさいと教えてくれたのは、和船とシャケ漁の権威の赤羽正春先生。
地元の博物館に説明なしで展示されていた模型の写真を先生におくったら、二点目のカワサキ船の発見だと喜んでおられた。
そして北海道・青森の縄文世界遺産群めぐりの旅で、最古の土器が出土した青森県の「大平山元遺跡」の展示室で、カワサキ船の模型を二点みつけた。

しかも艤装が西洋帆船のスクーナーをモデルにした「合いの子舟」で、この艤装のお陰で風上にも進めたので冬の海でも遭難しにくくなってタラ漁ができたし、糸魚川~北海道まで6日間で渡れたのであり、これは貴重な文化遺産だ。
展示室の管理人はカワサキ舟のたんたるかを知らず、元は青森市の「みちのく北方漁船博物館」の展示品であったが、3・11の津波で被害をうけてこの展示室で展示することになったと教えてくれた。

こちらは和式の艤装をもつ全長7mのカワサキ船で、糸魚川の漁民が北海道に渡ったのはこのサイズでスクーナー式の艤装ではなかったか?

江戸時代の越前でうまれたカワサキ舟は優れた船型から各地で派生型がつくらた。赤羽先生なら水押しをみて、どの地域の影響をうけたカワサキ船かが解るはず。

思わぬ発見に興奮して赤羽先生に電話をしたら、初夏にお亡くなりになったと遺族から伝えられた。
青森から沿岸を南下して、村上市のご自宅を訪ねようと思っていたのだけど、疑問に答えてくれ、発見の喜びを分かち合える師匠がいなくなって淋しい。ご冥福をお祈りいたします。
投稿者プロフィール

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ヒスイの故郷、糸魚川市のヒスイ職人です。
縄文、ヒスイ、ヌナカワ姫の探偵ごっこをメインにした情報発信と、五千年前にヒスイが青森まで運ばれた「海のヒスイ・ロード」を検証実験する「日本海縄文カヌープロジェクト」や、市内ガイド、各種イベントの講師やコーディネーターをしています。
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