連続テレビ小説にしてください!・・・小林信也著「大の里を育てた〈かにや旅館〉物語」
糸魚川は「ヒスイのまち」であると同時に「相撲のまち」でもある。
市内能生地区にある新潟県立海洋高校の相撲部は全国屈指の強豪と知られるが、最初から強豪校だった訳ではないし、他の強豪校は私立が多いと聞く。
2009年の新潟国体にむけた強化策で総監督に就任した田海さんご夫妻が、家業の「かにや旅館」で部員たちと寝食をともにして、献身的な育成をしてきたことが発端なのだ。家業のかに漁師が経営する旅館だから「かにや旅館」。

その奮闘記「大の里を育てた〈かにや旅館〉物語」は、涙あり笑いありのすばらしい内容で、恵津子婦人を主人公にして朝の連続テレビ小説にしてほしいものだ。
汗だらけ砂まみれになった太った大男であっても、なぜか力士には爽やかさと清潔さを感じるのだが、長年にわたる激しい稽古と礼節を重んじる修行は禊のようなものなのだろうか?
能登の被災地に石川県出身の遠藤関や大の里が紋付袴で訪れただけで、避難所の人々は涙を流したそうだが、郷土出身力士というだけでなく、大銀杏を結った羽織袴の姿の大相撲力士の姿は、確かに日本人の心の琴線に触れる何かがあると感じる。特に海洋高校相撲部出身の大相撲力士は四股が美しく、汗拭きタオルを丁寧に畳んで返すことが話題になったそうで、海洋高校相撲部の修行方針が礼節を重んじているからなのだろう。
勝ってもガッツポーズをせず、淡々と勝ち名乗りをうける姿は、いかにも日本的な美しさがある。
海洋高校は県立高校だから、稽古は授業が終わってから4~5時間もつづき、食事は夜10時くらいから12時ころまで時間をかけて食べて体づくりする相撲三昧の日々。
巨体ゆえにベッドや便器が壊れ、田海さんの持ち出しも多かったそう。

その日々を中学から高校まですごした大の里は、「かにや旅館での六年間がなければ、いまの自分はありません。だけど、二度と戻りたくない地獄の六年間でした。」と振り返る。当時はスマホやゲームが禁止の禁欲生活だったようだ。
大の里の化粧まわしは、地元の人の浄財で賄った。
わたしの父もボクシング倶楽部を運営して、田舎のアマチュアジムでは珍しくチャンピョンも誕生したから、田海さんご夫妻の献身が身にしみる。

海洋高校は食品加工開発もおこなっており、相撲部員が開発した「ごっつぁんカレー」の収益の一部は、相撲部の運営費にもなるそうだから、食べて応援しようではないか。

*本書は糸魚川図書館と石川県立図書館にあります!
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投稿者プロフィール

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ヒスイの故郷、糸魚川市のヒスイ職人です。
縄文、ヒスイ、ヌナカワ姫の探偵ごっこをメインにした情報発信と、五千年前にヒスイが青森まで運ばれた「海のヒスイ・ロード」を検証実験する「日本海縄文カヌープロジェクト」や、市内ガイド、各種イベントの講師やコーディネーターをしています。
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