「先生の言うことを聞いていたのに!!」犠牲になった74名の児童たち・・・「津波の霊たち 3・11 生と死の物語」
東日本大震災の津波で、児童74名と教職員10名が犠牲になった石巻市立大川小学校を題材にした、イギリス人ジャーナリストによるルポ「津波の霊たち・3・11死と生の物語」は、「想定外を想定する避難計画」を思い知らされる。

発災直後の大川小学校は、マニュアル通りに児童を校庭に避難させたが、津波災害の避難計画は曖昧なままだった。

学校側は二次避難先を裏山にするか、三角地帯になった川沿いの広場にするかで意見がまとまらず、児童を校庭に座らせたまま、津波到達までの51分間を無為に過ごしてしまった。
この時点で「先生、山さ上がっぺ!なんで山に逃げないの?おれたち、ここにいたら死ぬべや!」と訴える児童もいた。

そして「10mの津波が発生!ただちに高台避難してください!」と絶叫する広報車が来るにおよび、よりによって児童を避難させたのは、「河川津波」が推定で9mに達した三角地帯だった。
他の学校では「津波てんでこ」を基本にした防災教育をしていたので、児童たちは先生の指示を待つことなく高台避難して助かっている。
大川小学校でも、三角地帯をめざして先頭を走っていた児童が津波を目撃して、逆もどりして裏山に駆け上がって助かっているので、やはり「津波てんでこ」は正しかったことになる。
しかし石巻市の遺族説明会で、市長の「これが自然災害における宿命」とする無責任な発言にはじまり、矛盾だらけの状況説明や証言者のメモを廃棄していたこと、唯一生き残った教員の説明が虚偽であったなどで、遺族の心情を逆なでしてしまった。

「先生の言うこと聞いたのに
」子供を亡くした遺族たちが原告となった裁判では、教育委員会の隠蔽工作と学校の職務怠慢が認められて遺族側が勝訴。
その一方で、市が指定した津波避難所に想定外の大津波がおしよせ60名が犠牲になった気仙沼では、市の防災課課長が「わたしが愚かでした。申し訳ございません」と頭をさげ、同じ苦しみをもつ仲間として受けいられ、責任追及に至らなかった例もあるようだ。
なんども書くが、「防災ハザードマップの範囲内で避難訓練をしていれば大丈夫」といった考えは、災害史を学ばない楽観論。
想定内で済んだ広域激甚災害があったのなら教えてほしい。
防災ハザードマップを最低基準として、そこから想定外を想定するのが大人の知恵。
ましてやガイドラインをつくる立場の行政、子どもの命を預かる学校は真剣に取り組むべき重要課題。
本書には多くの心霊現象も紹介されているが、著者は心の救済を渇望するが故の自然現象の「生と死の物語」と解釈していて、真偽のほどには無関心。わたしも同じ解釈で、そこからナニを学ぶかが問題だ。
#津波の霊たち #東日本大震災 #津波てんでこ #災害サバイバル #想定外を想定する
投稿者プロフィール

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ヒスイの故郷、糸魚川市のヒスイ職人です。
縄文、ヒスイ、ヌナカワ姫の探偵ごっこをメインにした情報発信と、五千年前にヒスイが青森まで運ばれた「海のヒスイ・ロード」を検証実験する「日本海縄文カヌープロジェクト」や、市内ガイド、各種イベントの講師やコーディネーターをしています。





