スマイル勾玉が春を呼ぶ・・・軟玉ヒスイ製北部九州の定形勾玉
弥生時代中期の定形勾玉は、円筒形の胴部に球体の頭部が鋭角に頚部に接続された複合的な立体造形物で、北部九州以外には類例がないような異質な勾玉だ。
口角があがって笑っているような印象を受けるから「スマイル勾玉」と、わたしは呼んでいるw

ヒスイ関係者のたまり場に持っていったら、はじめてみる勾玉!ロウカンヒスイ?どうやってつくった?と驚かれ、軟玉ヒスイ(ネフライト)の勾玉で、納得いくまでに3日かけて完成させたと教えたら唸っていた。

回転運動する電動工具だけでは頚部にRがつくので、往古とおなじく手作業の前後運動でヤスリで削り、薄い板に巻き付けた耐水ペーパーで研磨しないと、鋭角に接続された頚部は再現できない。

電動工具で8割くらいつくってから、頚部の接点をヤスリで削る図。この点は頭部に3~4本の刻みをいれた丁子頭勾玉だと、最初の1本を首の付け根に刻むわけだから楽なのだ。
硬玉ヒスイ以外は価値がないと考え、勾玉の出来より原石の質ばかりが問われるのが現在のヒスイ業界だから、恐る恐る「いくらで売れると思います?」と聞いたら、都内のミネラルショウなら〇✕万円で売れると言われ、わたしの推定価格の4倍だったので今度は自分がビックリ。そんなに高く売ってくれるなら委託販売を!w
同業者から硬玉ヒスイ以外の作品を評価されたのは初めてだから、かなり嬉しく感慨無量。
水晶産地の甲府、メノウ産地の出雲では、かなり前に原石が枯渇して、原石は外国産にとって代わられている。
そのうちに糸魚川ヒスイも、ミャンマーヒスイにとって代わられる日がくるかも知れない。
勾玉の完成度で評価される努力や、硬玉ヒスイ以外の勾玉でも売れる努力を続け、今年の4月で14年目。
蔭で笑う人もいたらしいが、やっと同業者から評価されるようになってきたようで、新たなスタートラインに立てたことを実感・・・春ですねぇ。
余談になるが、北部九州の定形勾玉製作の初期段階は、古墳時代中期の山陰系のメノウ勾玉のようなコの字形に似ていて、地域差と時代差はあるにしても、定形勾玉を粗製乱造した可能性を感じる。
#ぬなかわヒスイ工房 #ヒスイ #翡翠 #勾玉 #定形勾玉 #宇木汲田遺跡
投稿者プロフィール

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ヒスイの故郷、糸魚川市のヒスイ職人です。
縄文、ヒスイ、ヌナカワ姫の探偵ごっこをメインにした情報発信と、五千年前にヒスイが青森まで運ばれた「海のヒスイ・ロード」を検証実験する「日本海縄文カヌープロジェクト」や、市内ガイド、各種イベントの講師やコーディネーターをしています。
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