沖縄県民 斯 ク(かく)戦ヘリ 県民ニ対シ後世特別ノ御高配ヲ賜ランコトヲ・・・映画「激動の昭和史・沖縄決戦」

6月23日は沖縄戦の戦没者の慰霊の日。
沖縄県民(民間人・現地招集の軍属・軍人ふくむ)12万人(15万人とも)が犠牲となった。

戦争映画は苦手という人にも観ていただきたいのが、新藤兼人脚本・岡本喜八監督の作品、1971年公開「激動の昭和史 沖縄決戦」で、戦争映画の金字塔といえる文芸大作だ。

・沖縄を本土決戦の時間かせぎと見捨てる大本営
・大本営に翻弄される沖縄第三十二軍司令部
・軍から自活せよと見捨てられた沖縄県民
・戦力差に圧倒される戦闘部隊の苦境
これらをテンポよくモンタージュすることで、錯綜する史実を小気味よく描き、緊迫感のある映画に仕立てている。

全滅必至の将兵が、沖縄の木造漁船「サバニ」に乗って夜襲をかける

白襷をつけて別れの盃を交わす

最後のタバコを回し飲みして突撃してゆく・・・軍服を脱いだ将兵は、わたしの祖父と同世代のよき息子、よき父、よき夫だ。
しかし夜襲をかける「切り込み隊」の白襷は味方の士気は高めても、白が夜目に目立って機関銃の的になりやすかった上に、日本軍の夜襲に手を焼いた米軍は、要所にマイクを隠し、対人レーダーを配備して待ち構えるようになっていたので、日本軍将兵たちは「飛んで火にいる夏の虫」を承知で突撃していたようだ。

沈着冷静な役が多い丹波哲郎は、本作では喜怒哀楽を露わにする参謀長を演じていて、「日本沈没」の総理役と同じく断腸の涙をにじませる。

寺田農が演じる戦艦大和の吉田少尉は、「戦艦大和ノ最後」の著者の吉田満がモデルらしいが、記録映像を差し込んだ場面では、学徒兵たちが遺書を語るドキュメンタリータッチにした演出も斬新だ。

オバアが背中を丸めて砂糖キビをかじる場面、修羅場となったガマ(洞窟)の野戦病院で女学生たちが歌を唄いながら布をあおいで換気する場面、酒井和歌子が演じる「ひめゆり部隊」の女学生が片足を吹き飛ばされ、「嫌ぁ~!お嫁に行けなくなる~!」と切断を拒否する場面、民間人が自決する場面などなど、民間人を巻き込んだ沖縄戦の現実、近代戦のリアリティ。

映画にも描かれているが、つい最近も、スパイ容疑で無辜の県民を銃殺してしまった部隊の元日本軍兵士が、戦後に慙愧の念を記した手記が発見されている。

冒頭の言葉は、池部良が演じた海軍陸戦隊司令の大田實中将が、沖縄県民を戦争に巻き込んでしまったことへの自責の念、大本営の非情さ、沖縄県民の無念を後世に伝えるべく、自決直前に奏上した電文である。

映画中盤で戦災孤児になった女の子は、あてもなく歩き、亀甲墓(沖縄地方の家族墓の内部はドーム状になっている)に隠れ潜む。

屍累々の戦場をさまよい歩く・・・なぜか生き延び続け・・・どこへ行こうというのか?

戦死した兵士の水筒をひろい水を飲むアップで映画は終わるが、この少女こそ真の主役といえないか?

#沖縄慰霊の日 #沖縄戦 #映画激動の昭和史沖縄決戦 #岡本喜八 #映画

投稿者プロフィール

縄文人見習い
縄文人見習い
ヒスイの故郷、糸魚川市のヒスイ職人です。
縄文、ヒスイ、ヌナカワ姫の探偵ごっこをメインにした情報発信と、五千年前にヒスイが青森まで運ばれた「海のヒスイ・ロード」を検証実験する「日本海縄文カヌープロジェクト」や、市内ガイド、各種イベントの講師やコーディネーターをしています。

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