縄文女子・・・ドキュメンタリー映画「掘る女/縄文人の落し物」
考古学とは、馬に乗って悪党一味と銃撃戦をし、お宝をゲットしたて美女と結ばれる、うらやましい商売だと思っている人は、ドキュメンタリー映画「掘る女/縄文人の落し物」をご覧いただき、夢をぶち壊してくださいw

暑い日も寒い日も、泥だらけになって土木工事をするような過酷な発掘調査だけでなく、その倍以上もの時間をかけて資料整理や報告書つくりに追われる地味な仕事が考古学。

本作はそんな仕事に「嬉々として取り組む」女性調査員と、アルバイトの女性作業員、すなわち「掘る女」にスポットを当てている。発掘品は「落とし主不明の落し物」として警察に届ける必要があるから、サブタイトルが「縄文人の落し物」であるらしい。

土木女子ですと笑い、同じ遺跡で30年に及ぶ発掘をつづけて定年を迎える女性調査員が、7,000年前の縄文人が黒曜石を掘る「掘り棒」を手にし、黒曜石を太陽に透かし見る場面に、考古学少女だった頃と変わらぬであろう純粋さを感じた。
春に亡くなったばかりの東京都立大学の山田昌久先生が、「ほらほら、どーだ!」と、嬉しそうに筆で遺物の汚れ落としをしていて、お世話になったことがあるから感慨無量。

就職活動しながら発掘する女子大学院生が、腹ばいになって土器を掘っている時に、イガグリが頭を直撃!

それでもプラ箕(土を運搬する道具)をかぶって続行する場面が微笑ましい。この人は地元の博物館に就職できた。
国宝になった合掌土偶や、釣り手土器を掘り当てたアルバイトの女性作業員たちの、ワクワクドキドキしながら発掘に取り組む日々。
この映画に出てくるのは、欲得抜きで縄文が大好きな人ばかりで、見ていて実に清々しい。
好きなことに真摯に打ち込む姿は美しいネ。
学校で習う、上から下、左から右に流れる年表だと過去の人々と自分の関係性が断絶的。
でも地面を上から掘っていくと新しい順に生活の痕跡が出てきて、大昔からのご先祖たちが命を繋いでくれてきたバトンを受け取ったのが自分なのだと連続性を感じられる・・・だからこそ命は尊いのだとヒトの尊厳の学びになると思うので、教育現場で上映してほしいものだ。
印象的な音楽が、「栗リコーダーカルテット」と「渋さしらず」とエンドロールで知った。
考古学の監修は、旧石器学会会長の堤隆先生で、Facebookで繋がらせてもらってお世話になっております。
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投稿者プロフィール

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ヒスイの故郷、糸魚川市のヒスイ職人です。
縄文、ヒスイ、ヌナカワ姫の探偵ごっこをメインにした情報発信と、五千年前にヒスイが青森まで運ばれた「海のヒスイ・ロード」を検証実験する「日本海縄文カヌープロジェクト」や、市内ガイド、各種イベントの講師やコーディネーターをしています。
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