戦国の豪傑とウサギ・・・黒澤明監督作品「蜘蛛の巣城」の甲冑を深掘りする

安土桃山時代の豪傑の明智左馬之助の兜は、なんとウサギが意匠されている。

ウサギは、すばしっこくて繫殖力がつよく、敵の動向に聞き耳をたてるといった理解があったようだが、死と再生をくりかえす不老不死の月の象徴でもある。

左馬之助の甲冑の全体像。鎧は西洋の様式をうけた鉄砲につよい「鉄二枚胴」で、安土桃山時代に登場した当世具足(とうせいぐそく)の最高傑作の一領とされる。

日本の甲冑は花鳥風月に由来する飾りが多く、外国の甲冑の装飾は威嚇的な龍やライオンであったりするのと対照的。

日本の家紋も、ほとんどが植物や、月や太陽、星といった天体がモチーフで、動物の場合は鶴や雁、鷹の羽など、勇ましさより風流を重んじていたことが伺えるのだが、それにしても兜とウサギの組合せは現代人の理解をこえている。

イノシシやクマの毛を植毛した不気味な兜もある一方で、ケムシ、ムカデ、カニ、大根!の前立があったり、兜の形自体が富士山や絶壁をかたどっていたりと、日本の甲冑は自然界の象徴で飾られているのも面白い。

ケムシやムカデは後退しないから好まれたようだが、なぜか5,000年前の中部高原地帯の縄文土器の施文に多様された、マムシの意匠がないのがフシギ。

ウサギは牙や鋭いツメを持たずとも、弱肉強食の自然界でたくましく子孫を残すではないか!我もかくありたきものよ、と考えた(らしい)中世の武将は、現代人と自然にたいする考え方が根本的にちがっていたということか・・・。

黒澤明監督作品「蜘蛛の巣城」では、謀反をおこす二人の武将のうち、千秋実が満月を象徴するウサギの耳がついた兜をかぶり、旗印もウサギで、三船敏郎は新月の前立の兜なので、二人あわせて月の判じ物になっていることを発見!

左馬之助の兜をその観点から観察すると、前立は新月なので、ウサギの耳は満月を象徴したと考えられ、兜全体を月とする判じ物になっていることに気付いた・・・カワイイ兜なんかじゃなかった。

死を恐れずに獅子奮迅の戦働きをすれば、たとえ我が身は滅びるとも、明智一族の武門の誉れは生き続ける!といった、覚悟の現れを感じますねぇ。

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投稿者プロフィール

縄文人見習い
縄文人見習い
ヒスイの故郷、糸魚川市のヒスイ職人です。
縄文、ヒスイ、ヌナカワ姫の探偵ごっこをメインにした情報発信と、五千年前にヒスイが青森まで運ばれた「海のヒスイ・ロード」を検証実験する「日本海縄文カヌープロジェクト」や、市内ガイド、各種イベントの講師やコーディネーターをしています。

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