藤竜也の笑い方「ハハッ」が枯淡の領域に・・・NHKドラマ「魯山人のかまど」

藤竜也は昔から、「まぁ、こんなもんだろ」といったニュアンスで、セリフの間や後に「ハハッ」と短く笑う芝居をよくしていたが、86歳になった藤竜也が魯山人を演じた、NHKドラマ「魯山人のかまど」で演じた魯山人の「ハハッ」は、これまでにない寂寥感に溢れていた。

長年にわたって魯山人の身に回りの世話をしていた女性を怒鳴り散らして放逐し、広い家に独りきりになった時の「ハハッ」は、孤独が肌に刺さる痛みを感じるほどで、肺の中の残気を吐き尽くす臨終を暗喩させる虚無的な笑い。

枯れた老人が時折みせる、内圧が噴き出した怒気の演技も、若い頃の藤竜也はハードボイルド芝居でも見せていたナ。

あのダンディなタフガイ俳優の藤竜也が、こんな深味のある演技をする名優になっていたとは驚きで、まさしく燻し銀の魅力。

タフガイ俳優ロバート・ミッチャムが晩年に演じた「さらば愛しき人」の探偵フィリップ・マーローの枯淡に通じて、こんな風に歳をとりたいものと思えてくる。

純粋無垢の裏返しの傲岸不遜な人となり、自らの美的感覚に妥協しない求道的な天才は、近寄る人にとって天災でもあり、晩年は金もなく孤独で、遺骨の引き取り手もなかったと聞く。

作中で柄本明が演じる吉田茂から、魯山人の書いた献立に良寛の影響を指摘される場面があるが、魯山人の良寛コレクションは相馬御風が仲介したものであるらしく、権威嫌いで純粋無垢な御風さんとは相性が良かった。

糸魚川市は、御風さんと各界の著名人との邂逅をアピールしてほしいもんだ。

本作で残念なのは、吉田茂が食事する場面の食べ方の汚さ。

戦時中は名のうての英国通のイギリス大使、戦後に総理大臣になって「白足袋宰相」と呼ばれた、ジェントルマンの吉田茂が、猫背で前かがみになって口を大きく開き、お化けみたいに舌を出して食事するかぁ?

森繫久彌が演じた毅然とした吉田茂像がこわれてしまったが、晩年の呆けかかった吉田茂と理解しましょうかねw

#魯山人のかまど #藤竜也 #相馬御風 #相馬御風と魯山人 #良寛と魯山人

投稿者プロフィール

縄文人見習い
縄文人見習い
ヒスイの故郷、糸魚川市のヒスイ職人です。
縄文、ヒスイ、ヌナカワ姫の探偵ごっこをメインにした情報発信と、五千年前にヒスイが青森まで運ばれた「海のヒスイ・ロード」を検証実験する「日本海縄文カヌープロジェクト」や、市内ガイド、各種イベントの講師やコーディネーターをしています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です