核抑止の危うさを問う・・・映画「駆逐艦ベットフォード作戦」
日本に核武装を唱える政治家がでてきたので、以前にも紹介した映画「駆逐艦ベットフォード作戦」を視点をかえて再紹介。

リチャード・ウイドマークはニヒルな悪役も得意にした強面俳優。

手塚治虫のスカンク草井のモデルになったくらい。

しかし実際には自他ともに認めるリベラルな紳士的な人物で、1962年の「キューバ危機」で全面核戦争になりかけたことで、本作を自ら製作・主演した映画「駆逐艦ベットフォード作戦」を1965年に公開した。
冷戦下の北極海域でパトロールする米海軍の駆逐艦ベッドフォードが、ソ連原潜を探知して示威行為がエスカレートしていくが・・・原潜の追跡をチェスのように楽しむ強権的な艦長役がウイドマークで、その言動を疑問視する記者役がシドニー・ポアチエ。

1957年にヒットした「眼下の敵」も、駆逐艦と潜水艦の頭脳戦を描いているが、「非情な戦争でもこうあってほしい」といった感じで、敵対する双方の艦長が騎士道精神をもつ、理想的な軍人として描かれている。
もしかしたらウイドマークは、そのアンチテーゼとして戦争のリアルを描きたかったのかも知れない。

ベッドフォードには、元Uボート艦長がNATO軍の軍事顧問として乗艦していて、「眼下の敵」のUボート艦長の戦後を投影しているのではないか?
キューブリックは本作の2年前に「博士の異常な愛情」で同じテーマをブラックコメデイで描いているが、本作はとことんリアルを追求したコインの裏表のような作品。
幾重もの制御システムがあっても、最終的に核攻撃を実行するのは人間に委ねられているが、「博士の異常な愛情」ではシステムが独り歩きするシニカルな内容。
実際に一触即発になった「キューバ危機」の時は、米海軍がソ連の原潜に対し演習用の爆雷で威嚇攻撃をし続け、開戦と判断した原潜の艦長は核魚雷で反撃を決意したが、副艦長のアルヒーポフ中佐が示威行動の可能性があると核使用に反対して艦長を説得し、浮上して状況確認をしてくれたおかげで、全面核戦争にならずに済んでいる。

救国の英雄という言葉があるが、アルヒーポフは全面核戦争から人類を救った英雄と言えるかも
核抑止の危うさを描いた映画というだけで、サヨクの反戦映画!と烙印をおす人もいるのが昨今の困った風潮。
しかし政治信条が真逆なタカ派のジョン・ウエインと、リベラル派のウイドマークは仲がよかったのは、この二人には「ここは自由の国アメリカ」と、お互いの意見を尊重する大人の度量があったということではないかな?
本作は声高に核兵器廃絶を!とは訴えていない。
リアルな核抑止の最前線を想定して、観客に「あなたはどう思う?アルヒーポフみたいに冷静に対応できますか?」と問うているのだから、右だ左だと二項対立的に色分けしていては、ウイドマークは得意のニヒルな笑いをしたに違いない。
#駆逐艦ベッドフォード作戦 #リチャードウィドマーク #核抑止の危うさ #キューバ危機
投稿者プロフィール

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ヒスイの故郷、糸魚川市のヒスイ職人です。
縄文、ヒスイ、ヌナカワ姫の探偵ごっこをメインにした情報発信と、五千年前にヒスイが青森まで運ばれた「海のヒスイ・ロード」を検証実験する「日本海縄文カヌープロジェクト」や、市内ガイド、各種イベントの講師やコーディネーターをしています。
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