ヒスイと良寛さんを再発見した相馬御風・・・糸魚川の偉人
美魔女軍団ツアーのロケハンで、奈良時代以降に忘れさられていたヒスイが再発見されたのは、地元の文化人の相馬御風(そうまぎょふう)の文献史学的な視点からであったと話した。

御風さんは、あまり知られていなかった良寛さんの研究者でもあり、その集大成となる「大愚良寛」が大正時代にベストセラーになったことで、良寛が世の中に知られるようになったので、実は良寛の再発見者でもあるのですと説明したら、ぜひとも御風宅を案内してほしいと頼まれた。
余談だけど、御風さんと山本五十六は同い年で、面識はなかったらしいが、「上杉謙信と良寛は越後の二大偉人」とする山本五十六は、「大愚良寛」に感銘をうけたことで、御風さんと文通をしていた。

加賀街道(旧国8号線)沿いにある相馬御風の家は、ウナギの寝床のような典型的な町屋つくりの県指定文化財。
御風さんが早稲田大学の校歌の作詞者だと知った主催者の女性が、「ええっ!」と驚いて急転直下。

なんと作曲者の東儀 鉄笛(とうぎてってき)の孫であるそうで、ご先祖に呼ばれたと驚いていた。

二階にある御風さんの書斎は、いまだに主の気配が漂っているのか、沈思黙考してしまうような居心地のよさがあり、居ずまいを正してずっと座っていられる。
前回のツアーは、縄文とヌナカワ姫がテーマだったが、次回は相馬御風と良寛がテーマになりそうだから、ロケハン隊が帰ったあとに御風さんのコレクションが展示されている、糸魚川市民俗資料館を下見に行ったら、1階に展示されている民具は、往時は御風宅の玄関横の洋間に展示されていたことが判明した。

資料館や自宅のどこにも説明が書かれておらず、民具に囲まれる御風さんの写真の場所を学芸員に調べてもらって判明したのだが、坂口安吾、魯山人、岡本文弥といった文化人が御風宅を訪れた際は、まずこの洋間に通されてコレクションを見せられ、糸魚川の民俗文化談義に興じていたにちがいなく、説明がないのはもったいない。

こちらが民俗資料館に展示されていた民具に囲まれる御風さんの写真で、撮影場所は蔵ですか?と質問した訳

こちらが現在の御風宅の洋間で、わたしが学芸員なら、せめて御風宅の洋間に、民俗資料館に展示されているコレクションに囲まれた写真を展示して、文人墨客をもてなしていたと説明書きを添えるけどナ。
御風さんは人柄もよく、もてなし上手であったようで、交通事情の悪い戦前に魯山人は年に二度、全部で三度も糸魚川を訪れ、自ら買い求めた食材で包丁をふるって御風さんにご馳走したそう。魯山人は自作の器も持参したかもですぞ。

傲慢な言動でしられ、漫画「美味しぼ」の海原雄山のモデルになった魯山人だが・・・

粘り強い(しつこい?)土門拳の撮影に、怒り心頭で睨みつける坂口安吾w
土門拳が撮影した魯山人や坂口安吾の写真は怖そうな顔をしているが、御風さんと一緒の写真は笑顔の好々爺に写っているから、御風さんは人を和ませる知識人であったことがわかる。
民具の一部でも展示すればなお佳いですネ。なんせ古民具がどんどん捨てられているのだから、市民に呼びかけたらいくらでも集まると思う。

国内初のラピスラズリが発見され、俄かに脚光をあびている糸魚川市だけども、ヒスイが再発見された後の御風さんは、ヒスイについて黙して語らなかった。
なぜか?
ヒスイの文化面がおざなりにされ、希少鉱物として投機の対象になり、乱掘されることを危惧していたのではないか?
戦後から今日までは、有史以来はじめてのヒスイバブル期になっているのではないか?お宝ゲット!一攫千金のヒスイハンターなんて昔はいなかったのでは?

唱歌「春よこい」の作詞は、ある冬の日の御風一家のできごとがヒントになっているので、「歩きはじめたミイちゃんが、おんもへ出たいと泣いている」の現場こそ、この玄関であったかもw・・・わたしにも同じ経験があり、これがモノガタリ
モノそのものではなく、ヒトと出逢ってはじめて発生するモノガタリにこそ価値があると、わたしは思っているが、ヒスイに関しては縄文~古墳時代まで「求めて得し玉かも」と渇望するほど尊しとした文化にこそ価値を見出している訳で、御風さんもそうだったと思う。
現在の御風宅と民俗資料館が、モノ展示におわっていないかと残念に思う次第で、もう少しだけモノガタリの情報発信をしてほしいねすねぇ。
#相馬御風 #糸魚川 #糸魚川の観光スポット #ヒトとヒスイの物語
投稿者プロフィール

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ヒスイの故郷、糸魚川市のヒスイ職人です。
縄文、ヒスイ、ヌナカワ姫の探偵ごっこをメインにした情報発信と、五千年前にヒスイが青森まで運ばれた「海のヒスイ・ロード」を検証実験する「日本海縄文カヌープロジェクト」や、市内ガイド、各種イベントの講師やコーディネーターをしています。
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